ゲームの映画化。かなりの鬼門で、今まで成功したといえるような事例がなかったと思います。しかし今、この作品が世界初の偉業となったかもしれません。
基本的にゲーム版の初代のストーリーをベースに細かくアレンジを加えているのですが、そのさじ加減が素晴らしい。あの雪のふる静けさ、裏世界の禍々しさ、独特のクリーチャー達、あれらをあそこまで忠実にスクリーン上で再現できるとは驚きました。ゲーム中の曲も各所でうまく用いられていて申し分ありません。たしかにあの場所は、サイレントヒル、そのものだった。
監督がサイレントヒルが本当に好きで好きでたまらなくて、それでいてシリーズの魅力が何なのかという点を冷静に分析して、丁寧に作り上げたんだろうなぁ、というのがひしひしと伝わってきました。シリーズ各作品のいろいろな風景を実に忠実に、しかも無理なく再現してて恐れ入りましたよ、ホント。はっきり言って、原作のゲームゲームしたお使いイベントやらされるよりも、映画でこの世界を楽しんだほうがいいかも。そう言ってしまえるくらい、これはいい。
サイレントヒルなのでグロテスクな面はあるのですが、ホラーとしては上品な部類に仕上がってて安心しました。個人的にはホラーで何が一番興ざめかというと、大音響と共にバーン!と何か出てきたりするような安易さなんですが、この映画は違いました。まさか体を少し振るわせるだけで、あそこまで驚かされるとは。
個人的には不気味でこそあれ、そこまで怖い映画と思っては見てませんでしたが(むしろ再現度に胸を躍らせて見てました)、シリーズ未体験のまみりんにとってはそうでもなかったようで、気持ち悪いし怖いしもういやだー、と言いながら指と指の間からしっかり映画を鑑賞してたようです。そういうわけでシリーズ未経験者の方にも、一本の良質なホラー映画としておすすめですね。
とりあえず”三角頭”と聞いて意味が分からない人は、ぜひともサイレントヒルに足を踏み入れてみてください。”素晴らしい”出会いが貴方の前にあることでしょう。
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