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小説

夢の樹が接げたなら

夢の樹が接げたなら (ハヤカワ文庫JA)

夢の樹が接げたなら (ハヤカワ文庫JA)

森岡 浩之
早川書房
2002-03-15

一読した後、あまりの衝撃にいつまでも忘れられない作品。
脳みそに何かを刻み込む、という表現では生易しい。
脳みそがえぐられるほどのショック。
そういう作品に貴方は幾つ出会えてきただろうか。貴方が生涯のベスト5に入れる短編として、必ず入れる作品は何だろうか。
僕は『匣の中の失楽』という推理小説界の歴史に残る作品を残している、竹本健治氏の『閉じ箱』という短編集に収録されている『恐怖』という話を選ぶ。
とても短いので15分以内には読了できてしまうと思う。だから気軽に読んで見て頂きたい。読んだ後は気軽な気分にはなれないでしょうけれど。
そしてもう一遍、選ぶ作品がある。雑誌で発表されたのみで、今まで短編集として編纂されていなかったため、薦めても誰も読めなかったのが悔しかった*1、遂にこうして薦めることが出来て嬉しい限りです。
その名は『スパイス』。森岡浩之氏の作品だ。今では『星界の紋章』の作者としてメジャーとなった感が強いが、僕にとっては一生、あの『スパイス』の作者だ、という認識のままだろう。これからは短編集『夢の樹が接げたなら』の作者として認識する人も出るかもしれない。
この書籍で語られる話は、どれもこれも自我を揺さぶる。言葉という脳内電位差の分布、所詮は複雑なだけのシナプスの結びつき。それらを通し。コギト・エルゴ・スム。そんな言い訳さえも。

  • 注1 : まあSFマガジンの93年の6月号、と言われて直ぐに読める環境の人なら、既に読了している気もするが。

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