「ダーリン、好きなだけじゃ一緒にいられないと思うの!」
「どうしたの?」
「共働きで私だけご飯作ったりするのって、私ばっかり負担がかかって大変だと思うの!」
まみりんは晩御飯のカップラーメンを啜りながら熱弁を振るうのでした。
「共働きでまみりんが大変なのは分かったけど、じゃあどうすればいいの?」
まみりんは俺がこっそり買っておいた”渡る世間は鬼ばかり 幸楽ラーメン タンメン”を勝手に食べながら言うのでした。
「決まってるじゃない、ダーリンもご飯作って」
「えー。作ってもいいけど、料理かなり下手だよ?」
「たまにはダーリンが休日の日に私が帰ってきたら、ご飯が用意してあってもいいと思うの」
10月下旬には退職してしまうから、俺より帰宅が遅いことなんてないと思うんだけど……
「じゃあ、次の休みの日でいい? なんか本とかあるの?」
手渡された料理本をパラパラ見て、疑問が一つ。
「まみりん、塩サジ一杯とか書いてあるけど、これってどのくらいなの?」
我が家に計量カップがあるとは思ってませんから、経験則を聞いておこうと思ったのです。
「てきとう」
「て、てきとう、ってそんな……ちゃんと適量入れないと美味しく出来ないと思うんだけど」
「ダーリンは男のくせにグダグダと細かいこと言いすぎなんだってば!」
材料だけじゃなくて、計量カップとかも買い揃えないといけないなぁ。とか思いつつまみりんに最後の確認をとってみました。
「で、俺の次の休みって14日だけど、いいの? まみりんの誕生日だけど、俺が料理とか作っていいの?」
「ケーキは博多駅の赤い風船ってお店で買ってきて」
「ケーキ以外は? 本当に俺が作っていいの?」
まみりんは無言でした。無言でしたが言ってみました。
「よりによって誕生日に食べなくても、って思ってない?」
「えっ、なんで私が考えてること一字一句まで分かっちゃうの?!」
職場でも思ってることを言い当てられるって不思議がってるそうです、まみりんは。一度この表情をデジカメで撮って見せてやれば納得してくれるんだろうか。
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