変わった設定のSF作品を書かれることで知られるロバート・J・ソウヤーですが、本作の設定はその作品郡の中においても奇抜です。
人類は初めてエイリアンと遭遇した。四光年あまり彼方のアルファケンタウリに住むトソク族が地球に飛来したのである。ファーストコンタクトは順調に進むが、思いもよらぬ事件が起きた。トソク族の滞在する施設で、地球人の惨殺死体が発見されたのだ。片脚を切断し、胴体を切り裂き、死体の一部を持ち去るという残虐な手口だった。しかも、逮捕された容疑者はエイリアン…世界が注目するなか、前代未聞の裁判が始まる!(本書裏表紙より)
ファーストコンタクトSFと法廷ミステリを融合させ、しかもそれらの設定がお互いに剥離せずに作品中でしっかりと融合している様は凄いの一言。法廷ミステリは全く読んだことが無いのですが、裁判風景の描写もしっかりしているのではないかと思いました。しかし告訴させるのがエイリアンなため、どんな流れになるのか想像もつかないあたりが最高です。
海外小説でしかもSFとくれば殆どの方が手に取られないかと思いますが、とても読みやすいしSFガジェット的な部分はある程度読み飛ばしても*1筋は追えるように上手く作られているので、このとんでもないシチュエーションが気になる方は是非とも読まれてみてください。読み始めて裁判が始まってしまったが最後、ページを捲る手を止めるタイミングを失ったまま、ラストまで読み終えてしまう危険すらあります。
- 注1 : 星間運動とかは意味が分からなくても大丈夫ですが、実はこれも伏線だったので驚きです。
コメント