PR(記事内にアフィリエイト広告が含まれています)
スポンサーリンク
小噺

カンカン

以前使ってたiMac、じゃなかったS◎TECのマシン。遠征に来た方に指差して「S◎TECだ!」と笑われるシロモノでありまして、「S◎TECなんだけど初期不良じゃなかったんだよ!」と言い返して驚かれるくらい、俗称屑鉄とまで言われるほどに初期不良の多いメーカーでございました。
そんなマシンですけど余ったので、一番近くに住んでた知人にあげました。そのかいがあって、ついに彼もネット環境に手を出すことになりまして、あんなマシンでも役に立ててよかったと思うのでした。
そしてある夜、知人の家で寝てたたら、物音で目が覚めました。けっこう大きなコンコンという金属音。誰か日曜大工でもしてるのかなぁ。辺りを見回すと、一緒に泊まりにきてたキングさんがS◎TECマシンの前で固まってました。
そうです、金づちの音かと思ったら、なんとS◎TECマシンの中から音がしているのです。俺も10年くらいPCに触ってるつもりだけど、あんな音がPCから出せるとは知りませんでした。ある意味感動。本気でハンディカムで録画してからMP3にして配信したいくらいに。音だけ聞いたら絶対PCから出てる音とは分からないって。
「嶽花さーん、ゲームで遊んでたら突然カンカン音がしだして、パソコンが止まっちゃったんですよ。再起動したらOS not foundとか表示が出てきてどうしようもないんですよー」
話を聞くだけでどうしようもなさそうだったんですが、とりあえず電源をつけてみたら普通にスキャンディスクが始まって、正常起動しました。
「やっぱ元の持ち主が起動したから機嫌良くなったんじゃねえの?」
と電源ボタン押しただけで勝ち誇ってたのですが、5分後、部屋の中から何か小さな音が聞こえてきました。まさかと思ってみたら、PCから小さなカンカンという音が。そして時間が経つにつれて音が大きくなってくるのです! ひぃい〜っ!!
今まで「S◎TECマシンは寿命が近いから、新しいの買ったほうがいいですよ」と知人に何度言っても聞き入れてもらえなかったのですが、急遽明日新マシンを買いに行くのに付き合うことになりました。ある意味偉大なマシンだったのかもしれない。そういうわけで尊敬の念をこめてこれからはこのPCをカンカンと故障、じゃなかった呼称します。
そして遂に知人にADSLモデムが到着した、ということなので設定しに行ってみました。この前買ったマシンはまだ届いてないので、それまでのつなぎで先日修理できたカンカンを使う手はずになっておりました。
はっきり言って、説明書に書いてあるとおりに繋いで、IDとパス入れるだけだから大丈夫だろうとは思ったんですが、PC初心者ということで不安みたいなので俺が横についてることにしました。まあ、少しずつ慣れていってもらおうかな、と。
とりあえず箱からモデム類を出して、コード類を繋げていって、スプリッタからでも電話がかかるのを確認したり、ランプが正常についてるのも確認したり、と自分の家でつけるときは考えられないくらいにマニュアルの順序にそって設定していきました。物理的な設定は終わったんで、あとはCDロム入れて、IDとパス入れれて、はい完了…と思いきや「アダプタは検出されましたがTCPスタックが見つかりません」というエラーメッセージが。
はあぁ?と思ってTCP/IPのところ見たら、なんか使いもしないNetBEUIとかIPX/SPXとかAppleTalkとかインストールされてます。いちおう全部確かめたけど、正常に動いてます、って表示に。はて?と思ってipconfig使ってみたらIPが全部0.0.0.0とかなってるし。正常じゃねえじゃん! 結局全部消してTCP/IPを入れなおしてみたら、正常に動くようになりました。
よーし、これであとはIDとパスを入れるだけだー!と勢い込んで、エンターキーをポチッと押すと無事終了、デスクトップにはODNへの接続のショートカットが出来てました。遂にネットの世界に知人も旅立つ時がやってまいりました。ODNをダブルクリックするのは、持ち主の知人にやっていただくことにしましょう。
「いやー、このあと徹夜して明日の仕事にひびいたら困るなー」とまんざらでもなさそうな表情の知人がダブルクリックをした瞬間、画面が切り替わり、しばらく画面が止まったと思ったら…
カン……
カン、カン……
カン、カン、カン……
カン、カン、カン、カン……
カン、カン、カン、カン、カン……
深夜一時過ぎの静まり返った夜更け、
無機質な音が時を刻む中、
我々はその場から動くことも出来ず、
お互いに言葉も無く顔を見合わせ、
無言でPCにむかって合掌するのでした。

さらば、カンカン……

コメント

タイトルとURLをコピーしました