画風にアクと言うものが殆ど見受けられず、しかしそのくせ個性的な画風で、トーンも使わずコマ枠にも定規を使っていないのが味わい深く思える、静かで暖かな作品。
一時期はちびちびと酒を甞めるように飲むがごとく、心を落ち着かせたいときに、一話一話、ゆっくりとゆっくりと読んでいました。自分から遠いものなせいなのか、叙情豊かな作風というものに憧れますね。
作者の方は本当に神戸という町が好きで好きで仕方が無いのだな、と感じ心が落ち着いてきます。心を亡くすと書いて忙しい、とよく言われますが、忙しくなって身の回りの細かなところまで気が向かない生活を送らざるをえない方々には、いい清涼剤になるのではないでしょうか。
この作品を読んでいると、自分は福岡と言う町を全然楽しんでいないのではなかろうか、と痛感します。数年前、全く知人が居ない状態で来た時よりは愛着が出てきていると思うのですが、もっと色々な所に行き、もっと色々と楽しめるのではないか、と思います。ほどよく都会でほどよく田舎で住みやすいところなんじゃないかと思うので、もっとそういう贅沢さを噛み締めてないとなぁ、と。
余談ですが、絵日記風なのでご本人の体験や知人がそのまま書かれているのかな、とも思うのですがどうなんでしょうね。そうでなかったらアレンジの巧みさに驚かされますが、真相は知らずに楽しんでおくのが一番いいかも。
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