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小説

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野崎まど
早川書房
2013-07-25

前情報を何も知らずに読んだので、いつもの野崎まど氏の軽快な文章は鳴りを潜めていて、ハードSF的な流れで話が進んでいくのに驚きました。
とはいえ文章が読みにくいというわけではなく、むしろハードSF的な話の中ではかなり読みやすい方だと思いました。今まで読んだ著作はすべてライノトベルという形式で出版されていたので、情報量を少なめにしたり、ユーモアを多めにしていたのかな、と。
本作では少しビターで斜に構えたような描写が多めで、くすりと笑えるようなところは敢えて無く、今までの野崎まど氏の魅力だった点とは少し違っていたのですが、情報の流れやそれを覆う社会といった描写などが秀逸で、先が気になる構成も手伝い、読み耽ってしまいました。常人を超えた存在を描く手法が、相変わらず冴えわたっています。
「知る」という行為がどこに行き着くのか。終盤ではSFでいうところの「センス・オブ・ワンダー」が十分に味わえ、さり気ない表現で世界の変容を感じさせてくれる点も、さすがの文章力だと感心しました。
やはり野崎まど氏はかなりのSF者だと確信しましたので、次はアニメ『正解するカド』を楽しもうかと思います。

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