推理モノではあるんですが、殺人事件などを扱うのではなく、高校生の身の回りに起きたちょっとした不思議な出来事を題材としていて、日常系ミステリーというジャンルに属する作品かと思います。重々しくはないので、軽く読めていいですね。
主人公が草食系で人畜無害なおとぼけキャラなので、人によっては読んでてイライラするかもしれませんが、個人的には楽しく読めました。マジックを披露するときだけは笑顔なのに、普段はそっけないヒロインとの掛け合いがなんかいい雰囲気で、微笑ましいんですよね。
とはいえ、実際のところ殺人こそ起こらないものの、そんな穏やかなシーンだけではなく、けっこうドロドロした部分も描かれていたりします。それでも読後感が悪くないのは、ライトノベルとはではいいませんが、あえて軽く読みやすく配慮している文体や雰囲気がそうさせるのかもしれません。
4つの短編からなるお話なのですが、それぞれのエピソードが全体の物語内での起承転結をうまく担っていて、それだけでなくすべて読み終えると全編を通す謎も明かされる、という作りになっており、そつなく上手い作品だと思います。続編も出ているようなので、そちらも早速読んでみたいですね。
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