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小説

リカーシブル

リカーシブル(新潮文庫)

リカーシブル(新潮文庫)

米澤 穂信
新潮社
2015-07-01

『氷菓』シリーズや『折れた竜骨』の作者の方の新作ということで、どのような雰囲気の話なんだろうかと前情報無しに手にしたんですが、想像以上に過酷な内容でした。高校生の青春めいたものでもなく、ファンタジーでもなく、中学生の痛々しい境遇というあたりが現実に近いからか、胸が詰まるような感覚があるのかもしれません。特に生活の苦しさといった要素などは、細かい描写をしているというわけでもないのに、着実に心の底に重りが溜め込まれていくような、心地悪さがあります(逆に言えば描写力があるという話ですが)。
楽しい気分で読書をしようという趣にはあわないかもしれませんが、読み終えてみたら確かにこれは良くできたミステリーでした。意外な伏線がラストまでにほぼ回収され、そうきたかという驚きもありましたし、ラストは後味が悪くなく力強さを感じさせるものもあったからかもしれません。
最近は子供の相手が多いからか、小説を読む習慣がめっきり減っていたのですが、本作を読み終えた途端に「ああ、面白かった。他にも面白い小説読んでみたい!」という気分になったので、最初手にした時の印象とは違い、今年最初に読んだ小説が実にいい作品だったのだな、と実感している次第です。

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