帯とか裏表紙のネタばれみたいなの(いわゆる帯バレ)が大嫌いな割には、そういう売り文句につられて取り合えずは手にしている自分のような存在がいけないんだろうか、と思ってしまう日々ではありますが、本作の「SF史上最悪のパラドックスを描く第1作」というあおり文句にはしてやられました。確かにこれは強烈で、劇薬とよんでもいいのではなかろうか。
読んでる最中に、もしかしてコレはあのパターンか?と敢えて思わせるような記載があったりするので、逆に警戒して読み進めていったものの、読めば読むほど困惑してくる体験というのはなんでしょうね、ちょっと例えとしては違うかもしれませんが、麻耶雄嵩氏の作品を読んでいる時のような落ち着かなさに通じるものがあるかもしれません。
落ち着いて読み返すと粗があったり、つっこみどころもあるとは思うんですが、読了直後はそういう感想が出てこないほど、「うわー、なんて複雑でめんどくさいモノ作ったんだ!」という勢いがありました。裏表紙の文句の通り、かなりイヤな味わいが満喫できるので、「イヤミス」ならぬ「イヤSF」というジャンルがあったら文句なしにランクインでしょう。
凝った構成ではあるものの、ガッチリとしたハードSFというわけでもないんで、人によっては好みが分かれるとは思いますが、少し変わったタイムリープものを読んでみたいという気分の時に手にしてみてはいかがでしょうか。読み終えた後のことは保障しかねますが。
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