他者にその存在さえ知られない犯罪を完全犯罪と呼ぶ
では
他者にその存在さえ知られない恋は完全恋愛と呼ばれるべきか?
ミステリー的で言うと、出題としては魅惑的なものの、人によっては不評に感じる部分がでるかも、と感じました。まぁ要所要所でちゃんと伏線があるからフェアではありますが。
個人的には、ミステリー単体として見るよりも、ミステリーと絡めた一人の男の人生記、として楽しく読了できた、という印象を持っています。
この作品はジャンルすら知らずに手にして目次も見なかったので、ミステリーなのかな?くらいの心境で読み進めていました。最近はテンポが速い作品ばかり読んでいたせいもあってか、本書はかなり進みが遅く感じました。しかも最初の事件が起こった後もゆっくりペースなのですが、昭和の絵画界も絡めた描写などが興味深く、そういう部分を味わいながら1ページずつゆっくり読み進めていけたのが良かったです。
ミステリーのトリック的には驚天動地なものはなかったんですが、全体的な作りに感心しました。
うまくミスリードされたな、という想いとともに書籍を閉じれたのが、至福のひと時でした。
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