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小説

ゴーレム100

ゴーレム 100 (未来の文学)

ゴーレム 100 (未来の文学)

アルフレッド ベスター,Alfred Bester,渡辺 佐智江
国書刊行会
2007-06-01

アルフレッド ベスターと聞いてピンと来る人は少ないかも知れませんが、ちょっとSFをかじった事のある方なら『虎よ、虎よ!』の作者と言えば分かっていただけるかも知れません。そうです、これはかなりのブッとんだSFなのです。センスオブワンダー、ここにありき。
精神世界を扱った未来SFなんですが、構成や表現がとにかくトんでます。多彩な視覚的描写、猥雑とした未来社会、怪しげな宗教、といった感じでスチームパンクというか、もう超スチームパンク。インパクトのあるイラストとの相乗効果と合わさって、怪しさ炸裂しまくりです。一部古臭さは感じるかもしれませんが、これが1980年に書かれたのかと思うと、時代を超えた作品だなって思います。
特筆すべきは訳文の泥臭さでしょうか。一時期は翻訳の難しさから出版不可能ではないかと言われていたらしいですが、そういう事を感じさせない生き生きとした文体です。とは言っても、読みやすいかと問われれば、んなこたねえッスと言いきりますが。癖がある文体と表現すべきだったでしょうかね。
何はともあれ、あの猥雑な言葉による実験っぷりを、よくもまぁ翻訳できたなぁ、と感心しました。そういう意味では、最終章とか必見です。なんだこりゃすげえ、としか言いようが無いっすわ、アレ。でも一番驚いたのが、本書の翻訳がわずか一ヶ月ほどで完了したという事実です。作者も天才ですが、訳者も天才ですね。
既存の小説に飽きたなぁ、って人は物珍しさから手にしてもいいかもしれません。海外作家ならではの破壊力は、ぜひ味わっていただきたいところです。

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