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小説

舞台は現代社会から隔離された、地図にも載っていない古びた村。弟が死の直前に訪れていたこの村に、何らかの原因がないだろうかと彷徨う主人公。生き神が支配する村で起こる連続殺人。そして鴉、鴉、鴉。

あまり数こそ多く読んではいないものの、麻耶雄嵩氏に対する強烈な印象と言うのは脳裏に刻み込まれています。このミスで年間ベスト1を取ってたり、ファンの間でも評価が高いということで前々から気になってましたが、ついに決心してこの作品を手にとってみました。

読んでる方には分かっていただけると思うんですが、「ついに」とか表現してしまうくらいに覚悟がいるのです。別に分厚いというわけでもないのに。推理小説は推理しないで読むように心がけてるので、推理小説を読むことで疲れるってこともないのに。でも、覚悟がいるのです。

他のマニアックな方々は違うかもしれませんが、俺がこの方の書物を手にする時って「あー、ちょっと精神崩壊の気分を味わってみたいなー」といった心境だったりします。普通のミステリを読んでては決して味わえない境地、何がなにやら分からないといった当惑感、そういったものを期待して手にしてるわけです。

序盤が退屈に思えたり、ネーミングセンスが独特だったり、言い回しが微妙だったり、といったところが少し気になったのですが、読了したらそういう些細な点は吹き飛びました。俺の理性も吹き飛びました。

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なにげなくとんでもない描写が書かれているシーン(死んだはずの弟が何事もなかったかのように遊びに来ている場面)、あそこから少しずつ何かが崩れ始め、最終的に至る真相と結末ときたら。

驚愕と表現するには凄まじすぎる。

カタストロフィ? 

世界崩壊感? 

表現はいろいろあるのだろうけれど、とにかく自分の中の何かが壊れました。これでこそ、麻耶雄嵩。こんな強烈な読書体験はなかなか味わえるものではありませんね。

素晴らしい。

メイントリックなどについての解説でしたら、SAKATAMさんのネタばれ感想が的確ですね。かなりの読書量に裏打ちされた感のあるしっかりした解説がお見事です。

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