父親が四人もいる高校生のお話、ってことでほんわか系の話だと勝手に思って読んでたら、いつもの(というか初期の頃の)伊坂氏のカラーでした。
事件が起こって、まきこまれて、きちんと伏線を回収してキレイに終わる、エンターテイメント系。途中までは大きな事件や流れもないのでほんわかしてましたが、段々と不穏な感じになってきて、うまくミスリードさせられて思わぬ展開になって、最後あたりは一気に読んでしまいました。
あとがきによりますと、位置づけ的には伊坂作品の第一期最後、って事らしくて納得しました。個人的には作風が広がるのは良いと思いますが、好きなのはこの作風なんで面白かったです。それにしても新聞連載で、ここまで伏線を周到に用意してるところが凄いですね。
今回は登場人物の魅力が前面に出ていたと思います。四人の父親が全員個性的で、どの父親もいいなぁ、って思わせてくれるところがあるんですが、葵という人物の教えは自分でも息子に教えこもうか、と思いました。
- 女の子の前では自分の話ばかりするんじゃないぞ。相手の話をよく聞くんだ。悩みを口にされても、絶対に、自分の意見を言うな。とことん相手の話を聞いて、それは大変だね、と言ってあげればいい。聞きながらうなずくことも忘れるな。
- 絶対に自慢話はするな。自慢話ほどつまらないものはない。
自分が一児の父となる前に読んでいたら、息子のことを考えたりとかいった風には感じなかっただろうな、と思うと時間の流れを感じます。
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