このシリーズは最初の読みきり短編の頃から好きで、連載作品になってからも毎巻楽しみに読んでました。死者の脳を科学的に読み取り犯罪捜査に使う、という設定を元に様々な物語が進んできたわけですが、正直最近は初期の衝撃が薄れてきたかな、と感じていました。
もちろんコミックとしての品質はとても高いと分かっているんですが、読者として慣れてしまったという点とか、そろそろこの設定を生かした独自的な内容を生み出すのがつらくなってきているかも、という気がしていたんです。読者は貪欲だから、もっと強い刺激を求めてしまうものだから、仕方が無いのかな、と。
しかしそれは完全に7巻で覆されました。30分ほどで読み終えるこの分量なのに、2時間の濃厚なミステリー映画を見終えて、その後強烈な印象が頭から離れずにもっと他にも面白いものを読みたくなってしまう、あの熱狂的な感情が久々にこの胸中に、この脳内に沸きあがりました。
ネタばれになるので詳しくは言えませんが、「死者の脳を扱う」という設定をこんな形で扱ってきたかという驚きも凄かったですし、その扱いだけでも強烈なのにそれ以上にしたたかなで意外な真実、その真の意味が分かった時の皮肉、といった感じでミステリーとしても超一級品の出来栄えです。
シリーズ最高傑作、という煽り文句に偽り無し。必読です。
コメント