推理小説でまれに見かける「読者への挑戦」、あれをゲームとしてこの手でプレイできるとは! サウンドノベルに関しては並々ならぬ執念をもつチュンソフトが、またしてもやってくれました。まだ完結してませんが断言します、これはとんでもない傑作だと!
いわゆる本格派と言われるミステリー作家7人、我孫子武丸氏・綾辻行人氏・有栖川有栖氏・竹本健治氏・麻耶雄嵩氏・大山誠一郎氏・黒田研二氏による書き下ろし10本の推理小説、と聞いただけで猫まっしぐらなファンの方もおられるのではないでしょうか。
これだけでも凄いんですが、システムが独特で面白いです。「ジャンル:ヒラメキ発見ミステリ ・ノベル」と言われるとサッパリかもしれませんが、答案用紙に記載するための答えを探すゲーム、と言えば少しはわかってもらえるでしょうか。
実際の操作で言うと、小説内でキーワードを選び、複数を組み合わた状態で推理ボタンを押下すると、関連性があるものに関しては「ナゾ」となります。そして更に「ナゾ」とキーワードを組み合わせ関連性があると、「ヒラメキ」となります。この「ヒラメキ」を調書という名の答案用紙にはめ込んでいくわけです。
具体的に書いてみたつもりですが、これでも分かりにくいと思いますので、少しでも気になった方は体験版をプレイしてみるのをオススメします。説明を聞くよりも、実際にプレイした方がすぐ飲み込めると思いますので。
この作品は少し変わった販売方式を取っていて、Season1とSeason2に分かれています。最初は何で一つにして販売しないんだろうか、と疑問に思っていたのですが理由があったのです。第5話から第10話まではSeason2という扱いで、UMD版が9月に発売することになっているんですが、実は毎週一話ずつダウンロード販売しており、8月5日には第七話が販売開始されています。
そして、毎週ダウンロードできる最新話を推理したら、その推理内容をネットでアップロードして、翌週答えあわせをすることができるのです。しかも、ノーヒントでトリック・犯人を完全に当てた人の中から、抽選で作家さんのサイン本が当たるというキャンペーン中なのです。こんな催し、今を逃したら二度とあるとは思えない! 乗るしかない、このビッグウェーブに!
と思って手を出したんですが、これがもう難しいんですよ。日ごろから推理しながら読むマニアックな方々なら違う感想をもたれるかも知れませんが、極力推理せずに騙されたり驚いたりする快感を満喫してる自分のような人間からすると、そうとう難易度が高いです。一読しただけじゃ、犯人どころかトリックも何も分からない有様です。一読した直後の「え、これだけで犯人とか分かっちゃうの?!」という呆然とした感覚は、なかなか味わえない類のものだと思います。
行き当たりばったりじゃ絶対に真相に行き着けません。その昔『かまいたちの夜2』で適当に選んだ選択肢がたまたま当たってて、プレイしてる本人は真相が分かってないのに勝手にストーリーが進んでしまった事もありましたが、あれからチュンソフトがいかに試行錯誤してこのシステムを編み出したかと思うと、ファンながらにして感無量な趣です。
難しい事は難しいんですが、ちゃんと救済措置もあります。何度か推理が外れるとヒントが少しずつ出てくるので、評価が下がるデメリットを承知でヒントを見てもよいし、絶対ノーヒントでクリアするんだ!とヒントを一切見なくてもよいのです。最悪、ギブアップする事も可能なので、誰でも絶対にクリアできる仕組みになってます。どこまで頑張るかはプレイヤー次第、って感じですね。
でも難しさゆえに、自力で真相を思いつけた時の知的興奮は、このゲームでしか味わえない快感と言えるので、これからプレイされる方々は出来る限り自力でいけるところまでやってみて、できれば毎週推理を応募してみてもらいたいところです。
とか言ってる自分ですけど、実は今回の第七話で初めてネットで推理応募できた次第です。いえ、色々と忙しくてですね、例えば業務が忙しくなってきたとか、毎晩夜中まで息子をあやしたりとか、妻と息子が実家に帰った隙に熱海旅行にでかけたりとか、じっくり推理する時間がなかなか取れなかったのですよ。
で、今回初めて応募するってことで、方法が分からなかったんです。Season1もダウンロード購入して、手元に紙製のマニュアルも無く、ゲーム内の説明ではネットで具体的にどう応募するのか書いてなかったのです。しかし実際に試してみたら、記載してないのも納得いくくらいの簡単さでした。調書を保存した時、応募しますか?って聞かれるのでハイって答えたら後はベルトコンベアーに乗ってるがごとく、自然と応募できるのでした。とは言え実は応募するまで手間取ったので、ギリギリになって応募しようとして焦る人が出ないように、失敗談を書いておきます。
まず応募しようとした時「無線LANが有効になってません」て言われ、本体上部に無線LANのオンオフのスイッチが存在してる事を初めて知りました。やっとネット接続できたと思ったら、今度は「PSPの本体のバージョンが最新ではありません」といわれ、アップデートファイルをダウンロードしてきて、アップデートしようとしたら「本体の電源が足りません」と言われて充電する事一時間、ようやくアップデート完了して、無事に応募できました。
何というか、応募の結果以前に、応募できただけで満足しちゃいました。水曜日の23時59分が毎週の応募締め切りなんですが、50分くらいにこんな状況になってたら……と思うと、日曜の夜に試しにやってみて本当に良かったと思います。
これから興味を持って、応募してみようと思った方にアドバイスを。練習問題の第0話の後に、いきなり八話からはじめることも可能なんですが、できれば第一話、可能なら第二話くらいはクリアしておいて、システム的な流れを把握してから本命の話に取り掛かった方が良いと思います。かなり良いシステムなんですが、トリックも犯人も分かってるのに、「ヒラメキ」が集められなくて調書を埋められない……って事もありますので、少しは慣れておいた方がよいでしょう。
ここまで真剣に頭を使い推理するなんて、めったに無い体験でしょうから、出来る限り情報をシャットダウンして楽しまれてみてください。
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