陽気なギャングが地球を回す

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

伊坂幸太郎
祥伝社
2006-02-20

伊坂氏自身が「90分くらいの映画が好きで、この小説を書いてみました」と言われているとおり、深く考えずにスーッと楽しく読めて、スカッと読み終えられる作品です。正しいエンターテイメントの姿と言えるでしょう。
タイトルどおり、主人公たちは陽気なギャングの四人組。明らかに犯罪者達なのに、あまりの陽気さや軽快さからそんなことを意識させてくれません。個人的にお気に入りなのは演説好きの彼でしょうか。ああいう銀行強盗なら実際にお目にかかってみたい。そしてその話しっぷりに呆気にとられてみたい。
すんなり読めるようには出来ているものの、細かいところで洒落てて好きですね。章の節目節目に辞書みたいに言葉の解説をしている部分があるんですが、絶対に広辞苑ではこんな解説しねえ、って捻くれてるものばっかりである意味実用的ですらあります。罪をおかしていない聖者の説教なんて誰の心に染みるってえの？
伊坂氏の作品の中では癖がなく誰にでも薦めやすい作風だと思ってましたが、今度本当に映画化するみたいです。一度読んだ作品ではありますが、よほど評判が悪くなければ是非見に行こうと思っています。あれらのキャラがどう振舞うのか、この目で見ないと気がすみません。あと、もちろん演説も。