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小説

重力ピエロ

重力ピエロ (新潮文庫)

重力ピエロ (新潮文庫)

伊坂幸太郎
新潮社
2006-07-01

けっこう重いテーマを扱っているのですが、そこは伊坂氏、軽妙な会話や表現などのテンポの良さで読みやすい内容に仕上がっています。
キャラクタの魅力もかなりのもので、”春”という少し変わっているけど憎めない好青年を筆頭に、主人公の家族が素晴らしい。一見どこにでもいるような優しげな父親なのに、心の余裕や奥底の力強さが垣間見えるシーンはかなりグッときました。
とは言え、伊坂氏の作品なので、かなりの悪意をもった人物も出てきます。これを同じ作者が描いているのか、と見まがうほどのが。どうやったらこういう悪意の育て方を思い浮かぶんだろうな、と思いながら読んでしまいました。でもだからこそ、あのシーンやあのシーンのあのセリフは引き立つんでしょうけれど。
とにかくあの家族の魅力にやられました。また同じ家族で違う話を書いて欲しい(無理なんだけど)、と思うくらいに。普段は同じ作家さんの作品は連続して手を出さないことにしているのですが、最近は我慢できずに伊坂氏の作品ばっかり読んでます。

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