人から聞いた体験談を淡々と記す、という体裁から小説と言うよりは書籍扱いにした方がいいんだろうかとも思いましたが、淡々と不気味に記すという簡単そうで難しいことをしてのけた筆力から考えて、敢えて小説扱いにしてみました。
どの話も淡々と不気味で読み応えがあるのですが、やはり読むべきはラストの第12章、「山の牧場にまつわる十の話」に尽きるでしょう。ホラー小説などと違って体験談なのでオチやカラクリが明確に説明されることもなく、聞かされた方は想像するしかない、といった点がかなり秀逸に仕上がってます。
本書を手にしていきなり12章から読み始めたくなるかもしれませんが、そこをぐっとこらえて順序良く読んでいった方が、貴方のためになるかもしれません。あの奇異さと不気味さを存分に味わう、という観点からすれば。
コメント