コミックスの表紙だけ見ると、可愛らしい絵柄の女の子に騙されそうになりますが、もっけと書いて「勿怪」と書くあたりに何かを感じ取っていただければ、と。「あずまんが大王」だと思って手にしたら京極夏彦だった、とでも言おうか。
こう見えても、本格的な妖怪漫画だったりします。京極堂だったら100ページくらい使って解説しそうなところを、うまく情報量を制御して漫画の中に組み入れてあり、とても読みやすくなっています。アフタヌーン誌での連載とあって『蟲師』と比べてしまいそうになりますが、『蟲師』が蟲という生命活動を描いているのに対し、本作では意思を持って行動している妖怪を描いている、というスタンスの違いがあるかと思います。
幾つものエピソードの中で個人的に好きなのは、1巻の5話「スダマガエシ」の幽玄さ、2巻の7話「モクリコクリ」の人間くささ、と言ったところかな。でも一番好きなのは主人公らのお爺さんですね(妖怪じゃないですよ)。孫を甘やかさず、それでいて気を遣っている風情が渋くていいです。妖怪萌えな人だけでなく、老人萌えな人にもオススメ。俺もできればこういう風に齢を重ねたいですが、多分孫には甘い性格になるんだろうなぁ……
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