片づけられない女のためのこんどこそ！片づける技術

池田暁子
文藝春秋
2007-04-12

漫画というか漫画エッセイといった感じで、絵柄も可愛いし文字が少なめなので、さっそく買ってきてまみりんの前に置いておきました。
「なにこれ？」
「いいから読みなさい」
「わたしにはいらないって」
「その根拠のない自信はどこからくるの？」
「その気になれば片付けられるってば」
「ほほぅ」
「わたしはまだ本気出してないだけ」
「いいから読め！」
そしてブツブツ言いながら読み始めるまみりんでしたが、少しして本を閉じると、とんでもないことを言い始めました。
「わたしはまだ大丈夫みたい」
えーーーーーーーっ？！
ロクに中身を確認せずに買ってきたので、どの辺りでまみりんが大丈夫よばわりしてるのかが本気で分かりません。仕方ないからどんな内容か見てみました。
「床が見えない」
「お部屋ではなく汚部屋」
「テレビで見かけるゴミ屋敷のおばさんが他人事に見えない」
「冷蔵庫に入ってるモノの説明が、牛乳？だとかジャム？だとかキュウリ？だとか、やたらと語尾に？がつく」
「部屋をチラ見されて彼氏にフラれた」
こういった内容からすると、うーむ、確かにゴミ屋敷まではいってないし、俺と結婚しちゃってるのは事実ですが、だからといって何を安心しきってるんでしょうか。
「ダーリン、ほら、最初の方にチェック項目があるでしょ？　該当する個数で汚染度が分かるってわけ」
当てはまるものに×を付けてください。

フトンが水平に敷けない。
CDの中身が違ってたり、入ってなかったりすることがよくある。
家の中で真っ直ぐ三歩以上歩けない。
五年以上、家に人を呼んでいない。
さっきまで手に持っていたはずのマンガが何冊も見当たらない。
全巻揃えていた筈のマンガが何冊も見当たらない。
リモコンが行方不明で録画予約ができない。
目が覚めた瞬間、あまりの汚さに正直ウンザリする。
窓が開けられない。
お正月がつらい。

さて、ここでクイズです。まみりんが×をつけたのはどれでしょう？

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ちなみに5〜7個×がある人は、汚部屋度70％、「床が見えなくなるのも時間の問題、物を捨て始めて！」とのことで、まみりんに言わせれば「まだ100％じゃなくて安心したー」だそうです。
ちなみに俺が知人呼ぶ時に掃除したり、まみりんはマンガ全巻揃えてなかったり、リモコンがなくても録画予約とかしないから問題なかったり、という観点からするとどうみても汚部屋度100％です、本当にありがとうございました。
なんかもう脱力したので、まみりんの部屋に洗濯物を取り込んで畳むことに。まみりんが最近は体調悪いみたいなので、俺一人で畳んでました。花粉症なんでしょうか、まみりんの目元が辛そうです。まぁいつもご飯作っててくれてるから、これくらいはしてあげないとね。
そして10分ほどすると、なぜか息が苦しくなってきました。気のせいかなぁ、でも換気したほうがいいかもね、と思ってカーテンをさっと開けようとしたらまみりんに怒られました。
「動きが早い！」
あまりに予想外の言葉だったので、最初は怒られてると分かりませんでした。
「動きが早いって、ただ普通にカーテン開けようとしただけじゃん？」
「だから、そーっとカーテン開けてよ。ゆっくりと」
「……そうしないと部屋の中に何かが舞うってこと？」
「まぁ、いろいろね」
「例えば何が舞うの？」
「……妖精とか」
ふと脳裏に、帰省したときの実家の母親の言葉がよぎりました。
「まみりんさんは片づけが苦手みたいだから、共働きなんだしアンタが掃除しっかりしてあげなさい」
ああ、今思えばあの菩薩のような笑顔は、達観や悟りではなく、単に何か諦めが滲み出ていただけなのかもしれない。
無言でカーテンを勢い良く開け、ケホケホと咳き込むまみりんを放置したまま、部屋中に掃除機をかけまくりました。数十分後、部屋の風通しも良くなり、普通に息ができるようになって一安心です。
ふと思いました。最近まみりんの体調が悪いのって、ひょっとして花粉症じゃなくてハウスダスト？
とりあえずこの書籍のチェック項目に、一つ増やすべきじゃないかと思います。

部屋の中ですばやく動けない

そういうわけで事実上は汚部屋度120％達成しちゃったまみりんですけど、本書を読みつつウンウン頷いてます。ためになることが書いてあって感心しているのではなく、単に「わかる、わかる〜」と共感しているだけのようです。ダメだこりゃ。
「ダーリン、そんなことないって。この本読んだらわたしもがんばれる、って思えてきたんだから、期待してよね」
「え、マジで？」
「うん、あしたから頑張る！」
あした。あした、ねぇ。それっていつのあした？
寝室の掃除機をかけながら思うのです。俺が死ぬまでに、モザイクなしで部屋の写真公開できる日が来るんだろうか、と。