『屍人荘の殺人』(感想)が楽しめたので、第二作はどうだろうかと期待半分こわさ半分で読み始めたんですが、自分好みの内容で楽しめてよかったです。
本編と関係ないところで感心したのは、登場人物の名前の付け方がうまくて、混同しないような工夫がされてた点ですね。漢字の印象と登場人物の特徴がうまく結びついていて、名前の字面からも想起しやすい。
この前読んだ海外ファンタジー小説は、あまりにも登場人物一覧を見返すことが多くて、しまいにはiPhoneで写真とって、そっち見て確認しまくってました。ファーストネームやミドルネームやファミリーネームが入り乱れて、同じ人物をなぜか違う呼び方してるから、混同する頻度が凄くて困惑しました。
作品自体は大変質がよく楽しめたのですが、海外小説はこのあたり宿命的なんですかね。漢字使わないから視覚的な分かりやすさがなく、名前の意味や馴染みやすさがないのもあって、日本人には読みにくい、と。このあたりについては、今自分がやってる創作の上でも、色々検討しないとなぁと改めて痛感しました。
本編に関連する話に戻ります。いわゆる「本格ミステリ」が好きな人には楽しめるのではないでしょうか。逆に言うと、前作が気に入らなかった人には向いてないと思います。推理をパズルと楽しむための人物配置・舞台設定というのが気に入らない人は、少なからず居ると思いますし。
今回は予知という要素を、本格ミステリにうまくオリジナルルールとして混ぜ込んでいたのが良かったですね。一点だけ偶然に頼った部分はあるんですが、個人的にはそこは逆に推理としての美しさに繋がっているし、創作内で一度だけなら偶然は使っても良いといった格言もあるじゃないですか。
個人的には「読者への挑戦」ってあまり好きじゃないんですよ。パズル好きなマニアには良いと思うんですけれど、本を読んでるという気分が冷めやるのも確かなので。そういう意味だと本作では、「読者への挑戦」という言葉は使わずにいつつも、自力で推理する人向けな工夫もされていて良いですね。
自分は最初から推理放棄して読んだので説得力ないかもしれませんが、真相を知ったあとだと「ロジック」である程度真相に辿り着けないこともない、という絶妙なラインじゃないかと感じました。少なくともアンフェアというほどでもないかと。ちゃんと遠まわしにヒントや伏線もあるので、それらの意味を考えていけば、推理マニアならかなりの部分まで迫れる可能性を秘めていると思いました。
第三作も予定されてるような雰囲気なので、次も楽しみです。
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