昭和30年代に書かれた、隠れたミステリー小説の名作。これ以外の情報を知らずに手にしたのが幸いしたのか、存分に楽しめてよかったです。自分が生まれる前に、まさかこんなミステリーが書かれていたなんて。
古めかしさはさすがにあるんですが、そこまで読みにくいというわけでもないです。とはいえ、先を見たいとグイグイ引き込まれるというタイプでもないんですが、そんなに長くもないのでさらりと読み終えられるかと思います。
読了後に再度セリフだけ読み直してみると、さり気なく伏線が張られていたり、同じセリフでも違った意味にとれるようになっていたり、ときめ細やかだと感じました。
Amazonの書評欄にはミステリーマニアを自負する方々がいろいろ書かれているようですが、といいますか、これ書かれたのが昭和30年代という事を無視した意見が多いように思えるのは気のせいでしょうか。自分としてはミステリーというのは、事前に「あのトリックか?」と全ての可能性を考えこんで、どれかが当たったら勝ち誇る、といった楽しみ方ではなく、余計なことは考えずに出来るかぎり無心に読んで作者の手のひらで踊らされてしまう方がいいよなぁ、と再確認しました。
そのためにも、今後も事前情報を極力知らずに作品を手に取る努力を怠らないようにしようかと思った次第です*1。
- 注1 : ちなみにこの作品を知ったのは、ツイッター上の某S氏のツイートでした。ネタばれにならないようなリツイートしかされてないし、他の方の感想ツイートに対し「ニヤニヤ」としか返信されてないから、その作品が面白いんだろうな、ということ以外の情報が全く分からないのが素晴らしい。さて自分も「ニヤニヤ」されてみようかな、って感じで本書を手にしてとても楽しめました。
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