日本製のいわゆる新本格派ミステリという代物は、とにかく人を驚かせることに注力して、世界中でも独自の進化を遂げたガラパゴス的書籍群だと思います。もう行き着くところまで行ってしまい、これらを読み慣れた読者はそう簡単には驚くことができない体に魔改造されてるのではないでしょうか。
こういう現状を打破するために作中独自ルールを用意する、という流れもありますけれど、本作を読了した結果、まだ人を驚かせる余地はあるのだなぁ、と唖然としました。ここまでやるか、と。
男女が物理的に結合して、目が四つ、手足が各四本ずつの結合人間と化すという世界でのミステリー。こう聞くだけでうわぁと思う人も多いかと思いますが、実際に読んでみたら想像以上にグロいというか気持ち悪くて、人によっては絶対に受け付けないと思います。序盤からインモラルの限りを尽くした猥雑な描写に溢れてるので、いきなり買わずに冒頭の文章で耐えれるか試してからの方が無難かと思います。
中盤まで読んでて「ミステリーのつもりで手にしたけど、勘違いだったのか?」と思い始めた矢先に意外な展開になり、そこからは奇妙な推理が始まって、実は生粋のパズラー気質な作家さんだったのだなぁと感心しました。詳しくは述べませんが、読了後はSAKATAMさんの書評を是非読んでみてください。いろいろな意味で圧巻です。
「鬼畜系特殊設定パズラー」という称号にふさわしい、確実に人を選ぶSFミステリー小説の極北だと思います。
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