昔から集中力が無くて、本などを読んでいてもなかなか世界に入りこめない僕にとっては、同じサークルの後輩の剣道部の主将だった女のコが、一度本を読み始めると話しかけても気がつかない風景は、ある意味憧れでした。このゲームをプレイしていて、珍しく完全に世界に入りこんでしまっていた自分に気がついたとき、これがあの境地か、としみじみ思ったものです。
第4回アスキー・エンターテイメント・ソフトウェア・コンテストにおいて、グランプリ(賞金1000万円!)を受賞した『パレット』というWIN用ゲームがPSに移植されたのが本作品です。
ジャンルを無理やり言い切ってしまえば、記憶喪失モノと言えます。思い返してみると、記憶喪失モノって世の中にわりと多い気がします。観客と主人公が情報的に同条件におかれるので、一体化してのめり込み易いからかもしれませんね。
そういう意味でも上記の二つを最近出てきた特殊な記憶喪失モノの新ジャンルと捉えてみた上で、従来の意味での記憶喪失モノを考えてみますと、ゲームでは『ヘラクレスの栄光3 神々の沈黙』や『真・女神転生 II』が未だにすらりと名を挙げれるくらいの衝撃作として記憶に刻まれています。
そして本作もこれらに並ぶくらいの思い入れがある作品となりました。見た目は地味なのですが、敢えて色数を絞った雰囲気、そして何よりもストーリーが秀逸です。おそらく3時間ほどでクリアできるボリュームではありますが、かなり濃い3時間になるのを約束しましょう。
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