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小説

『アリス・ミラー城』殺人事件

『ダンガンロンパ霧切』と『ダンガンロンパ霧切2』が大変面白かったので、作者の北山猛邦氏のミステリー作品をどれか読もうかな、と思ってこちらを手にしてみました。

「物理トリックの北山」と呼ばれるくらいに、物理系トリックに凝った作品を書かれている方だそうで、確かに『ダンガンロンパ霧切』シリーズも凝ったトリックがありましたし、本作にもかなりトリッキーな密室殺人が登場して、凝ってるなーと素直に驚きました。

新本格ミステリーの様式にのっとったかのようなチェスの見立てがあったり、少し幻想的な雰囲気もあったり、とかなり面白かったので、未見の方はこれ以上の前情報無しに手にされてみてはどうでしょうか(Amazonのレビューも、できれば読了後の方がいいでしょう)

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「物理トリックの北山」という言葉自体がミスディレクションになってたのが驚愕。あんだけ物理トリック講義とかぶちかましておいて、それすら目眩ましとは! 折原一氏が物理トリックメインの作品を書いたような衝撃!(どんなんだ)

とはいえ読了後しばらくの間は、これが叙述トリックだということにすら気づいてませんでした。「いきなり新人物が登場して犯人かよ」と勘違いしてる方は、ぜひこちらのネタばれありの記事をご覧になってみてください。作中からの引用を交えて、叙述トリックの伏線部分が丁寧に解説されているのでオススメです。

ちなみに自分の場合、チェスの人数がおかしいのは最初の頃から気づいてましたが、それが叙述トリックの人数誤認に対する伏線だとは全く気づいてませんでした。叙述トリックだと自力で気づいた人は、めったにない知的興奮があったのではないでしょうか。多少無理がないわけでもないですが、時間差をおいて待ち構えるカタストロフィは、お見事というしかありません。

なお一部文章が改修されたらしいので、文庫版をオススメしておきます。

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