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映画

鍵泥棒のメソッド

『運命じゃない人』『アフタースクール』といった凝った脚本で楽しませてくれた内田けんじ氏が、いつの間にか新作を上映していると聞いたら、出張中であろうがいてもたってもいられません。子供が生まれてからは映画館はご無沙汰でしたが、思い立ったが吉日ということで、久々にレイトショーに行ってきました。
結論から言うと、今回も面白かったです。コメディタッチの入れ替わり劇といった様相で、『アフタースクール』ほどの衝撃さこそ無いものの、全体的に丁寧な作りで楽しめました。役者さん一人ひとりが実にいい演技をしていて、キャラの魅力で言えば本作の方が上回ってるかもしれません。
売れない役者役の大泉洋氏は、実に情けない青年をうまく演じていたし、広末亮子さんはけっこう年をとったなぁと思ったけれど無機質な役柄をうなくこなしていたし、何と言っても殺し屋役の香川照之氏が素晴らしかった。色々な面を見せないといけない難しい役柄だったと思いますが、表情一つ一つのどれもが印象に残りました。
夜10時すぎのレイトショーだけあって、観客は自分と大学生っぽいカップルの計三名だけでした。笑う部分を共有できないから寂しい上映になるかと思いきや、不快な客が居ないから存分に楽しめました。映画が終わって帰る時のエレベーターでカップルと一緒になったり、自転車に乗って帰ろうとしたら歩いていくカップルとまたまた一緒になったりしたんで、「面白かった?」と聞いてしまいたくなりましたが、流石に自重してそのまま自転車で通り過ぎました。
12時半過ぎから歩いて大学方面まで二人で歩いていくのかぁ、と思うと若くていいなぁと思いつつ、自分らも15年くらい前はあんな感じだったのかなぁ、と思ってしまいました。そういう事を思いつつ、『アフタースクール』ほど衝撃度は無かったけど、まぁ面白かったかなぁ、とぼんやり考えていたら、自然と自分の顔が緩んでいるのに気がつきました。映画を見終わった後の余韻と、若い恋人達の姿が重なったのか、なんだか幸せな気分になっていたのかもしれません。
映画を見る楽しさを存分に味あわせてもらったので、次の作品も楽しみにしています。何かのインタビューで「シナリオはいくら時間をかけてもお金がかからないですからね」といった事を言われてたから、また5年後くらいになるのかもしれませんが、忘れた頃に上映されてて急いで見に行くような予感がしています。

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