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小説

折れた竜骨

折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)

折れた竜骨 (ミステリ・フロンティア)

米澤 穂信
東京創元社
2010-11-27

中世イングランドを舞台としたミステリー小説、と言われるとシャーロックホームズといった古風なものかと思われそうですが、一点だけ普通のミステリー小説と大きな違いがあります。このイングランドでは魔術という要素が存在しているのです。
魔術と言う要素はあるんですが、解決に至る道筋はあくまで論理的で地道な消去法で犯人を探し当てる展開になります。作者あとがきでも、『七回死んだ男』『生ける屍の死』『天使の殺人』『デッド・ディテクティブ』『魔術師が多すぎる』、といった作品にインスパイアされて取り掛かった、と言われているとおり、異世界での独自ルールが推理に絡んでくる面白さに満ちた作品です。前述した作品を読了している方なら、どういった知的興奮が待っているか期待されるかと思われますが、それだけの期待をしていても問題ないと思います*1
完全な異世界にしても良かったのでしょうけれど、あえて中世をベースにしたことで、世界観を伝えるのは最低限な描写で済ませられ、読みやすい割には風情も損なわれない、といった利点があったのではないでしょうか。
本物の海外文学とは違い、人物名がカタカナなだけで、それ以外は読みやすい部類に入ると思います。とはいえ中盤までは割と退屈な捜査場面が続きます(でも多彩な国籍の人物が登場するので、読んでてつらい、みたいな事はまったく無いのですが)。それを超えた中盤以降になると緩急溢れる展開が待ってますので、冒頭で投げ出さずに読了した方が幸せな気分になれるかと思います。
願わくば、シリーズ化してもらいたい。そう思わせる傑作でした。

  • 注1 : と言ってる本人は最初の二冊しか読んでないのではありますが。

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