戦争映画をアニメという手法で表現したら、まさかこんな作品になるとは。
パレスチナ大虐殺を描いた作品なのですが、アメコミのように陰影のはっきりした絵柄*1で描かれることで、表現されているのは明らかに残酷な内容なのに、映像として素晴らしすぎるため、直感的に残酷さを感じると言うよりも、論理的に残酷さを感じているように思えます。
しかし、これらは明らかに意図的に仕組まれた演出でしょう。作中で何度も「カメラを通す事で絵空事のように」だとか「バルコニーの向こうで他人事のように」と、何らかのフィルターを通す事で目の前の惨事がリアルに感じられない、という表現が出てくる事からもそう感じました。そしてこれらは布石だったのでしょう。
原題が『WARTS WITH BASHIR(バシルとワルツを)』なのに対し、邦訳を『戦場でワルツを』としてきたセンスが好きですね。戦争映画というジャンルの中でも異色な衝撃作だと思います。パッケージの雰囲気が気に入ったのならぜひ鑑賞して、打ちのめされてみてはいかがでしょうか。
- 注1 : 似たような表現で言えば、ゲームですけれど『KILLER7』が近いと思います。狂ってるという点で見ても似てますね。狂う方向性がずいぶん違ってるかも知れませんが。
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