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小説

夜が終わる場所

夜が終わる場所 (扶桑社ミステリー)

夜が終わる場所 (扶桑社ミステリー)

クレイグ ホールデン,Craig Holden,近藤 純夫
扶桑社
2000-03-01

最初にその存在に目が向いたのは、邦題の印象深さからでした。原題が「FOUR CORNERS OF NIGHT」なのに対し、それを「夜が終わる場所」と意訳する文章のセンスから、翻訳の質の高さに期待してみたわけなのですが、その期待は裏切られませんでした。
警察小説と文学が歩み寄ったような重厚な風格がある作品で、展開の速さではなく人間を描くことを重視していて、それでいて少し複雑なプロットを複雑に見せずにすらりと見せているあたり、かなり巧みな印象を受けました。過去の事件と現在の事件を交互になぞり、その心理描写を丹念に積み重ねることにより、その人間が確かにそこに居るかのような存在感を出しているだけでなく、それが実はうっすらと伏線になっているのが見事です。
自分でもなぜだかは分からないのですが、本筋とは全く関係ない下記の文が妙に心に残りました(327ページより)。
いったん夜勤に慣れると、それが生活になる。アルコール中毒や、特定のスポーツにふけることや楽器を演奏する能力のように、何年もそこから遠ざかっていても、またはまりこむと、なじめるものなのだ。昔と同じようではなくとも、かつてのような調子は出なくとも、それが人生だとは思えなくとも、またそこになじむことに楽しさを感じられるのだ。
ラストの文章よりもなぜこちらが印象に残ったのかは自分でも良く分かりませんが、理由なんて自分が納得するためにつけるものですから、印象に残ったと言う事実に納得しているのなら、それでよいのではないかな、と。
先が見たくて気になって仕方がない、といった作風ではないので読みづらいと感じる方もおられると思いますが、じっくりと読書をするのが好きな方にはお勧めしておきます。

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