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小説

ヒーザーン

ヒーザーン (ハヤカワ文庫SF)

ヒーザーン (ハヤカワ文庫SF)

ジャック ウォマック,Jack Womack,黒丸 尚
早川書房
1992-07

異教徒ヒーザーンの定義とは何だろうか?
国としての機能が崩壊し、巨大企業に牛耳られている陰惨な有様の近未来アメリカ。奇跡を起こす救世主を名乗る人物が現れ、彼を商品として売り出そうとする動きも生じ、様々な人々の思惑が交差しつつ静かに物語は進んでいきます。
近代アメリカ文学といった趣で、派手な展開などはなく、人生に対する問いかけのような会話で満ちていて、奇妙な造語とあいまって独自の世界観がありますね。アメリカでは評価が高いようですが日本では決して大ヒットは望めない渋い作風でしょう。
十年以上前に読んだ作品ですが、未だに記憶の片隅に残っている作品です。特にあのラストシーンは文字としてではなく映像として覚えています。それまでがひたすら暗いなシーンが多かったため、なおさら鮮明に思えたのかもしれません。そのシーンを「視た」時に思い浮かんだのは、異教徒の定義ではなく、救世主の定義でした。
救世主に一つだけ必要十分条件があるとするならば。
決して自分自身が救われないこと。
これさえ守っていれば、後はどうにでもなるに違いない。

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