例年は10冊も読んでないので選択を悩むことはなかったのですが、今年は自分にしては意外と読んでて選出に悩みました。
ベスト10とかではないため順位はつけてなくて、並びも特に意図はないです。
本の背骨が最後に残る
SFとは何か。通常の小説では味わえないような「センス・オブ・ワンダー」を感じさせてくれる事、と個人的に考える。
そういう意味だと本作はまさにSFとしか言いようがないくらいの異質の発想・驚きの数々に満ちている。
おどろおどろしい雰囲気なのに、その先に待ち受けているものが知りたくて、異形から成る美しき悪夢から目が離せず、ページをめくる手が止められない。我々の住んでいる世界ではない、もしかするとどこかにあるかも知れない世界を垣間見るかのような心境は、まさにSFを味わう醍醐味。
特に表題作と描き下ろしの姉妹編が圧巻。物々しく奇妙で現実離れしているはずの数々の設定が、緻密な筆致力により、まざまざと眼球の裏に現実味を帯びて映し出される様は、まさに読む麻薬。
さぁ、貴方も幻想的な現実へ旅立ちましょう。
アミュレット・ホテル
犯罪者御用達ホテル×ホテル探偵という設定だけで面白すぎるんですが、中身も想像以上に新本格ミステリーになってて最高。
犯罪者御用達ホテルという点から映画『ジョン・ウィック』を思い出す人も多いと思いますが、作中でそのあたりも自ら描写されてます。とはいえあくまで着想を得たってだけであって中身は完全に別物として楽しみに満ちています。
この作者さんは毎回おもしろい試みを盛り込んでくるので、いつも新作が楽しみです。
午後のチャイムが鳴るまでは
人が死なないミステリーって面白いの?という問い掛けに対するファイナルアンサー。
でぃすぺる
オカルトと推理とジュブナイルの融合具合がよく、多彩な魅力があります。
うまいタイミングで何度も先の展開が気になるような情報が示唆されたりして、構成も面白かったですね。
きこえる
どういうこと?と自問してから遅れてやってくる真実のインパクトたるや。
黄土館の殺人
名探偵とはなにかという問いかけのシリーズ三作目。次で完結みたいなので、そこで最終的な感想をあげたいところです。
ほねがらみ
かなり怖いホラー小説。映像ではなく小説であるからこその怖さがあるんじゃなかろうか。
これがデビュー作とは、また凄い人が現れたなぁと感心。
龍の墓
VRゲーム×警察小説という変わった組み合わせ。
VRを扱った作品といえば『名探偵に甘美なる死を』がすごかったですけれど、本作もまた変わった切り口で面白かったです。
魂婚心中
バラエティ豊かで奇想にみちた短編集で、どれもこれも凄すぎ。
特に『閻魔帳SEO』のラストの一文は、たぶん他に同じ文章で終わる作品は存在しないのではないかというインパクト。
雷龍楼の殺人
ミステリマニア向けの作品で、これは賛否両論あるんじゃないでしょうか。
目次を見ただけでは分かりませんが、とある演出が想定外のところにあったりと、冒頭から一筋縄でいかない雰囲気です。
自分はかなり楽しめました。
まとめ
自分のやろうとしている二次創作は「各章のタイトルを既存作品から借用にしないといけない」というルールがあるので、タイトルが気になる作品はとにかく手にするみたいな、本来の読書の楽しみ方から外れた部分もあります。
でも手にするきっかけがそうなだけで、一度読み始めたら物語に没頭させていただける素晴らしいものばかりで、今年も色々と楽しませていただきました。
とはいえまだ積んでる本が電子の海のさなかに大量にあるので、二次創作が終わった暁には全部純粋に楽しんでみたいところです。何年後になるかわからないですけど。
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