タイトルからするとジュブナイルものや青春ものと予想してしまいそうですが、さにあらず。毎回どんな話が出てくるのか予想がつけられないくらい、多彩なジャンルの短編集です。
あまり派手さはないですが、落ち着いた雰囲気で語られる短編はどれもこれも魅力的です。基本的にはどれも独立した話として読める短編ではありますが、たまにシリーズっぽくなっている話もあって面白いです。最初と最後の話は言うまでも無く、宇宙パンダとかも個人的にかなり好き。
これだけ完成度が高いのに、既に4巻で完結しているのが残念でならない。他にどんな器の物語をもってくるのか、という楽しみがもう無いなんて。そう思って同じ作者の初期短編集も読んでみたのですが、ずいぶんと趣が違っていて驚かされました。若さゆえの無軌道なハジケた感じがあるとでもいおうか、まぁ期待していた作風と違っていたわけです。逆に言えば、いつの間にこれだけの作品を描くようなターニングポイントがあったのか、それだけのものが熟成されていったのか、それが興味深くもあります。
今はコミックビーム誌での新連載の作画に入られているとのことなので、かなり期待しています。今までの遍歴があったかのように、突然とんでもない作風をまた熟成させてきやしないかと。
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