『五年生』でリアルな男女の泥沼模様を描いた木尾士目氏が、今度はリアルなオタクの生態を描かれました……というと聞こえがいいかもしれませんが、個人的には「え、まさかあの人が……」とあたかも三面記事に掲載されるようなことをしでかしたかのような印象が強かったです。それくらいに印象が変わった気がします。
印象が変わったとは言え、やはり構成がうまいな、と感じます。のんびりしたオタク集団「げんしけん」、彼氏がそこに所属しているのでイヤイヤながらもいついてる非オタクの女性・春日部さん。どちらかだけの視点に偏りすぎることもなく、一般人とオタクとの視点でコミカルに描写されているあたりがうまいな、と。
それ系統の知識がある人にはもっと細かなところで楽しめるのではないかと思いました。大野さんコスプレ特集ページとかみてると、いろいろ元ネタがあるのだなぁ、と。こんなんだから一時期は作中作である「くじびきアンバランス」は実在してるのかと信じてたくらいです。コミックス三巻の書き下ろしで格闘ゲーム画面まで作ってるのは凝りすぎ。でも本当にこんな同人ゲーム作る人が出てきそうだなー。虚構が現実に置き換わるのもまた面白いかも。
俺はコミケに行くほどではないものの確実にオタクなわけで、ニヤニヤしながら「ああ、こういう感じなんだよなー」と思いつつ楽しめました。昔はまだまだ青かったので「俺はオタクじゃない!」と言い張ってましたが、ある日知人に「ハードSFが好きであっても、エロゲーが好きであっても、一般人から見ればどっちも立派なオタクだよ」と諭されて以来、なんかこうスッパリと見栄をはることがなくなりました。職場でも何かあったら「僕、オタクなんですみません」と言い切れるようになりましたし。
かえって何だか遠いところに来てしまったように思えるのは気のせいです。
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