ゲームキューブのRPGと言えば殆どの人間が『テイルズ・オブ・シンフォニア』と言いそうな気がしますが、個人的には本作を推したいです。ちなみに昨年の12月の当サイトが殆ど更新してなかったのは本作のせいです。更新してる時間があるなら『バテンカイトス』しないと、という勢いでしたね。
3Dを前面に押し出してこないものの、美しい絵画のような2D的な味わいを醸し出したグラフィック。格調高く優雅な音楽。ロードの早さ。単調になりにくい戦闘。そして起伏のある物語展開。これがPS2で発売されていたら販売本数が一桁違ってたのではないかと思うくらいの大作です。
マグナスというカードを使った戦闘は思ったよりも複雑ではなく、むしろ一瞬の判断でカードの数字を繋いでいったりする操作が作業性を若干無くしているような感じです。結局のところカードは手持ちのデッキからランダムに出てくるので緻密な戦闘が楽しめるかというとそうでもないし、少し敵の攻撃シーンでかったるく感じるところもあったり、アイテム生成などの奥の深さほどには懐深さは感じえませんでした。しかし今までと違ったアプローチで楽しかったのも事実です。収集癖のあるプレイヤーなら、マグナス集めが楽しくて仕方ないでしょうから、そっちの意味でのゲーム性は高いと思います。
個人的に一番特筆すべきはストーリーです。少し気になるところはあるものの、総合的に見てかなり優れたものではないでしょうか。マグナスという存在がカードシステムとストーリーとで剥離せずにうまく融合しているのも凄いな、と思います。どこぞの超大作RPGみたいに「どこかで見た映画や漫画の好きなシーンをモチーフにしてイベント作って、辻褄があうようにつけはぎました」といった感じはまるでなく、一人の人間が確固たる意思を持って紡ぎあげた力強さを感じさせてくれます。
最初はちょっと変わった設定のRPGだな、くらいに感じつつプレイすると思いますが、DISC2に入ったあたりからの怒涛の展開・伏線の回収っぷりからは目が離せないでしょう。印象深い演出はいろいろあるのですが、未だに忘れられないくらい印象深かったのは、終盤での祈りの言葉[A]「光なき地に光を 救いなき者に救いを ひとり夜の底を行く我らを 海よ、誘いたまえ」ですね。あそこであの言葉が出てくるか、と。
ゲームキューブ持っててRPGが好きなら、是非プレイしてみてください。貴方が思っているよりもとっつきは悪くなく、貴方が思っているよりも面白いでしょうから。
脚注
↑A | 「光なき地に光を 救いなき者に救いを ひとり夜の底を行く我らを 海よ、誘いたまえ」 |
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