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小噺

自転車ウォーズ

俺、自転車に関してはかなり自信があります。盗まれることには。
大学時代に、何回盗まれたか分かりません。六回から八回の間と思うんですが、正確な数字は覚えてません。覚えていることといったら、防犯ステッカーがあると二週間後くらいに警察から呼び出しがあって、発見された自転車を迎えにいったことです。何度も何度も、何度も。
あんまり何度も盗まれ、何度も警察に顔を出すうちにすっかり顔を覚えられてしまった俺。決してツラが指名手配犯みたいだからじゃありません。あんまり何度も盗まれる俺に、あきれたように中年の人のよさそうな警官が聞いてきました。
「いったい、いつもどんなとこに自転車とめてんの?」
「大学の講義室の横の駐輪場にとめてたんですけど。この前夜中に自転車を取りに行ったら、なんか怪しい二人組みがいて、見張りのやつが俺見た瞬間に合図して逃げ出して行ったんですよ」
「あー、なるほど、なるほど。それはちょっとまずいねえ」
「でしょ? あんな連中」
「いや、君の防犯意識。まずいのは」
で、色々と知恵を伝授されました。
?昼間人がいるからといって、夜には人がいなくなるような場所に真夜中に自転車を止めない。常に明るくて人通りのあるところに。
?カギは必ず二個かける。物理的に開けるのは可能だが、泥棒の心理としては二個も外すくらいなら、一個のカギの自転車を、と思って心理的に防犯になる。
?あまり綺麗な自転車に乗らない。すぐに目をつけられる。
最後のは俺のボロ自転車に対する嫌味か?と思いましたが、素直に聞き入れることにしました。
「えー、カギを二個もつけるの面倒くさいですよ」
「じゃあ、こんなカギならどうかね。物理的に取るのが手間かかるし」
見せていただいたのは縦長の南京錠。これなら取るのに苦労しそうだから取る気も起きなさそう。
そして三日後、土曜深夜。俺は夜中に件の自転車置き場へ友人達と向かった。昼間は講義で人が多いが夜中に人通りの無いこの場所に、ガッチリした頑丈なカギを後輪に1個だけつけ、ある意味綺麗すぎる自転車を置いてきたからです。
とれるもんなら、とってみやがれ、あぁん?
とか言いながら自転車置き場へ。そして暗闇の中、自転車の置いてあった場所へ。
無い。
確かにここに置いたのに! まさか、あのカギを壊してまであんな汚い自転車を盗んでった?
慌ててあたりを探しまくる俺。しばしのときが流れ、そして後には虚無感だけが。あきらめて帰ろうとしたとき、ふと思いました。俺が自転車をおいた筈の場所にある目の前の物体、コレは何?
そして目を凝らして暗闇を見、そして後には敗北感だけが。後輪がカギかかってたからって……だからってこんなん、あり?



※成れの果て(イメージ画像)
警察に前輪の盗難届け出しに行ったら、なぜか俺が怒られたのが納得いかない。

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