映画『カメラを止めるな!』公式サイト
最初は東京で2箇所で上映されてたのみだったのに、評判の良さから全国各地で上映館が増えていってる、という情報だけ聞いて映画館に行ってきましたが、上映館が大増殖していってるのも納得な傑作でした。
この映画がどういう作風なのか、といった前情報すら無しで見たほうが楽しめると思いますので、些細なネタバレすら食らわずに、即座に映画館へ行ってみてはどうでしょうか。
以下にネタバレ満載の感想を書きますので、鑑賞後の記事閲覧を推奨します。
ポスター画像を見たくらいで、あとは上映劇場・時間しか知らない状態でしたので、実質的に何の前情報もないまま劇場へ行きました。当日の午前に予約しようとしたら、すでにほぼ満席だったので、一番前の列に座らざるを得ませんでした。前知識がない状態でしたので、おのずと「どれくらい面白いんだ?!」と期待は高まるばかりです。
自分は昔はかなり映画館に行ってたんですが、最近はマナーが悪い客に当たることが多く、ほとんど映画館には行かなくなりました。今回行ったキャナルシティはメジャー作品が多く、そのためマニア以外の一般層の割合も高くなり、マナーが悪い客の確率も高くなるのでそれなりに覚悟していったんですが、それでも「上映前のマナーなので、音をたてて食事をするのは控えましょう」と上映された途端に左右の客がムシャムシャボリボリと遠慮なく食事を始め、しかも右側の客は禁止されてる持ち込みで、売店で売ってなさそうなひどい匂いがする何かを食べてて、もう気分は最悪です。
こういう事書くと「映画館の収入はポップコーンなどで賄われてるから我慢してください」と説教してくる人が居るんですが、なんでマナーが悪い客を一方的にガマンしないといけないというのか! そういう輩が居るから映画館へ行く人が減るという想像力は無いんでしょうか! 俺が権力を得たら映画館のポップコーンとゲーセンの台パンは法律で禁止させたいと強く思うばかりです。
そういうわけで、今回の映画鑑賞はたぶん最悪の気分になるだろうな……と始まる前から覚悟決めて、期待感もかなり下げてたんですが、実際に見始めたらなんと更に気分が盛り下がりました。
ポスターを見た時は『ショーン・オブ・ザ・デッド』(感想)みたいな、お笑いホラー系なのかなとぼんやり思ってたんですよ。ホラーとしての恐怖描写の作り込みはバッチリで、それでいてうまく笑いを盛り込んでいるという感じなのかな、と。その笑いがうまくて口コミが全国に蔓延しつつあるのかな、と。
しかし本作の冒頭はほんとチープなんですよ。悪い意味で。低予算ものもシナリオ良ければ気にならないと思うんですけれど、予算がよほどないのか、ホラーとしてあまりにもチープで、演出などにも不自然なところが多いんですよ。
学芸会のノリで作ったような印象で、見てるうちに気持ちがみるみる冷めていって、乾いた笑いすら出ず、過去に鑑賞したホラー系の作品を思い出してました。走馬灯のように、あたかもこの作品を見て自分の心が死んでいるかのように。
・『ドーン・オブ・ザ・デッド』(感想)
・『28週後……』(感想)
・『テキサス・チェーンソー・ビギニング 』(感想)
・『新感染』(感想)
・『ミスト』(感想)
・『SIREN』(感想)※PS2のゲームです
これらの作品のことを思い出していると、やはり細部の雰囲気作りは重要なのだな、とあらためて思い知らされました。ホラーはきれいな画面よりも少し荒いほうが恐怖感を煽るというのも分からなくないんですが、それ以外にも集中を乱すノイズ的なものがしょっちゅう差し込まれてくるんですよ。
ギャグなのか良くわからくて笑っていいのか判断に悩むポン!のタイミングとか、なぜか動かない人間がずっと写ってたりとか、酔いを誘うようなひどいカメラワークとか、カメラについた液体を雑に手で拭ったりとか、”偶然”置いてあった斧を拾った時の棒読みセリフとか、もうほんと酷すぎます。
自分はメタものってだけで途端に評価が厳しくなります。よほど効果的に扱わない限りは、クリエイターが「これ、面白いでしょ?」的な水たまりよりも浅い思惑で、すでにありきたりとなった演出をドヤ顔で見せられても……と冷めた気分になってしまうというものです。
そんなことを思いつつ冒頭の30分ほどの映像が終わり、スタッフロールが流れてから、一気に流れが変わりました。言われるまで気づきませんでしたが、ワンカットで編集なしの映像だったのですね。それだけでも凄かったんですが、今まで不自然に感じていた点が、なんとすべて伏線だったというのはかなり衝撃的でした。ホラーかと思って見てたら、実はコメディだったのか! なるほど、こういうメタネタだったかっ……! そう分かってきてからは、左右の客のマナーの悪さや冷めた気分もどこかに吹き飛んでしまい、心の底から笑って楽しめました。
単純に笑えると言うだけでなく、モノづくりのドラマとしても見どころがあります。自分は娯楽作品を複数人で作った経験はないんですが、SE・リーダーとして複数人でプロジェクトを進めていった経験があったので「あー良く居るよな、こういう連中」とか「リーダーとして不満を言うやつをどう飼いならすか面倒くさいんだよなー」とか、監督役の人にかなり感情移入(というか同情)してしまいました。別の業種でもこういう事あるんだろうなー、と。
伏線回収の素晴らしさもさる事ながら、まとまりに欠いていたスタッフが、最後にはみんな協力して人間ピラミッドを作る流れもグッと来ましたね。娘の昔の写真とつながるあたりといい、ほんと精密でよく練られたシナリオだと思います。
邦画はタレント宣伝が目的で中身が希薄な実写モノが多いという印象なんですが、そんな中でも地味ながらシナリオが秀逸な傑作もあると思っています。本作が気に入った方へ、以下の作品をオススメしておきます。
・『サマータイム・マシン・ブルース』(感想)
・『キサラギ』(感想
・『アフタースクール』(感想
・『運命じゃない人 』(感想)
・『鍵泥棒のメソッド』(感想
・『亀は意外と速く泳ぐ』(Amazon)
潤沢な予算を使いまくった派手な作品もいいんですが、こういった地味ながらもシナリオの良い映画は、やはり満足度が高く面白いですね。やはり映画はシナリオだよなぁと再認識しつつ、幸せな気持ちで劇場を去れてよかったです。
自分は昔はかなり映画館に行ってたんですが、最近はマナーが悪い客に当たることが多く、ほとんど映画館には行かなくなりました。今回行ったキャナルシティはメジャー作品が多く、そのためマニア以外の一般層の割合も高くなり、マナーが悪い客の確率も高くなるのでそれなりに覚悟していったんですが、それでも「上映前のマナーなので、音をたてて食事をするのは控えましょう」と上映された途端に左右の客がムシャムシャボリボリと遠慮なく食事を始め、しかも右側の客は禁止されてる持ち込みで、売店で売ってなさそうなひどい匂いがする何かを食べてて、もう気分は最悪です。
こういう事書くと「映画館の収入はポップコーンなどで賄われてるから我慢してください」と説教してくる人が居るんですが、なんでマナーが悪い客を一方的にガマンしないといけないというのか! そういう輩が居るから映画館へ行く人が減るという想像力は無いんでしょうか! 俺が権力を得たら映画館のポップコーンとゲーセンの台パンは法律で禁止させたいと強く思うばかりです。
そういうわけで、今回の映画鑑賞はたぶん最悪の気分になるだろうな……と始まる前から覚悟決めて、期待感もかなり下げてたんですが、実際に見始めたらなんと更に気分が盛り下がりました。
ポスターを見た時は『ショーン・オブ・ザ・デッド』(感想)みたいな、お笑いホラー系なのかなとぼんやり思ってたんですよ。ホラーとしての恐怖描写の作り込みはバッチリで、それでいてうまく笑いを盛り込んでいるという感じなのかな、と。その笑いがうまくて口コミが全国に蔓延しつつあるのかな、と。
しかし本作の冒頭はほんとチープなんですよ。悪い意味で。低予算ものもシナリオ良ければ気にならないと思うんですけれど、予算がよほどないのか、ホラーとしてあまりにもチープで、演出などにも不自然なところが多いんですよ。
学芸会のノリで作ったような印象で、見てるうちに気持ちがみるみる冷めていって、乾いた笑いすら出ず、過去に鑑賞したホラー系の作品を思い出してました。走馬灯のように、あたかもこの作品を見て自分の心が死んでいるかのように。
・『ドーン・オブ・ザ・デッド』(感想)
・『28週後……』(感想)
・『テキサス・チェーンソー・ビギニング 』(感想)
・『新感染』(感想)
・『ミスト』(感想)
・『SIREN』(感想)※PS2のゲームです
これらの作品のことを思い出していると、やはり細部の雰囲気作りは重要なのだな、とあらためて思い知らされました。ホラーはきれいな画面よりも少し荒いほうが恐怖感を煽るというのも分からなくないんですが、それ以外にも集中を乱すノイズ的なものがしょっちゅう差し込まれてくるんですよ。
ギャグなのか良くわからくて笑っていいのか判断に悩むポン!のタイミングとか、なぜか動かない人間がずっと写ってたりとか、酔いを誘うようなひどいカメラワークとか、カメラについた液体を雑に手で拭ったりとか、”偶然”置いてあった斧を拾った時の棒読みセリフとか、もうほんと酷すぎます。
自分はメタものってだけで途端に評価が厳しくなります。よほど効果的に扱わない限りは、クリエイターが「これ、面白いでしょ?」的な水たまりよりも浅い思惑で、すでにありきたりとなった演出をドヤ顔で見せられても……と冷めた気分になってしまうというものです。
そんなことを思いつつ冒頭の30分ほどの映像が終わり、スタッフロールが流れてから、一気に流れが変わりました。言われるまで気づきませんでしたが、ワンカットで編集なしの映像だったのですね。それだけでも凄かったんですが、今まで不自然に感じていた点が、なんとすべて伏線だったというのはかなり衝撃的でした。ホラーかと思って見てたら、実はコメディだったのか! なるほど、こういうメタネタだったかっ……! そう分かってきてからは、左右の客のマナーの悪さや冷めた気分もどこかに吹き飛んでしまい、心の底から笑って楽しめました。
単純に笑えると言うだけでなく、モノづくりのドラマとしても見どころがあります。自分は娯楽作品を複数人で作った経験はないんですが、SE・リーダーとして複数人でプロジェクトを進めていった経験があったので「あー良く居るよな、こういう連中」とか「リーダーとして不満を言うやつをどう飼いならすか面倒くさいんだよなー」とか、監督役の人にかなり感情移入(というか同情)してしまいました。別の業種でもこういう事あるんだろうなー、と。
伏線回収の素晴らしさもさる事ながら、まとまりに欠いていたスタッフが、最後にはみんな協力して人間ピラミッドを作る流れもグッと来ましたね。娘の昔の写真とつながるあたりといい、ほんと精密でよく練られたシナリオだと思います。
邦画はタレント宣伝が目的で中身が希薄な実写モノが多いという印象なんですが、そんな中でも地味ながらシナリオが秀逸な傑作もあると思っています。本作が気に入った方へ、以下の作品をオススメしておきます。
・『サマータイム・マシン・ブルース』(感想)
・『キサラギ』(感想
・『アフタースクール』(感想
・『運命じゃない人 』(感想)
・『鍵泥棒のメソッド』(感想
・『亀は意外と速く泳ぐ』(Amazon)
潤沢な予算を使いまくった派手な作品もいいんですが、こういった地味ながらもシナリオの良い映画は、やはり満足度が高く面白いですね。やはり映画はシナリオだよなぁと再認識しつつ、幸せな気持ちで劇場を去れてよかったです。
これは誰かに勧めたくなると思いますし、今後も評判がパンデミックしていくでしょうね。他の観客と感情が一体化しやすい作風ということもあり、できれば映画館で見て欲しい作品だと思います。
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