警告
嘘喰い終盤のネタバレについても触れている可能性があるので、当記事は嘘喰い全巻読了後に閲覧することを推奨します。
第48巻の再読です。
カリ梅カウント
48巻のカリ梅は1個です。
後述しますが、このシーンはほんと衝撃的でした……
即チェック
いよいよ貘さんが追い詰められてきて、ここで起死回生で床にハンカチを置く作戦に出た後、即チェックされた時のインパクトときたら……演出の凄さが神懸かってます。
賭郎会員権を持つもうひとりの男
これは無理なのでは……と思い始めた頃、梶ちゃんが鼻血を出します。
その有様が貘さんみたいで、もしかするとこれは貘さんが負けて梶ちゃんが屋形越えなのか……?という疑惑が心にのしかかってきました。
嘘喰いに一票
しかしそんな気持ちに異を唱えるかのように、梟が一票。
この梟が振り返るシーン、なんか妙に好きなんですよね。負け戦モードになりかけてた気持ちがリセットされたのと、このコマの動きがシンクロしたからなのかも。
崩壊する記憶
創一の記憶が崩壊する瞬間、思い出のルービックキューブの中に大船さんやのぶ子が映るなか、一番最後に大きく映る、その人物は。
ハルの帰還
創一が記憶喪失で負けるのを避けるため、敢えて臨死した結果、決闘の場に戻ってきたのは、ハル。
戦いが始まる前は「お前」と読んでいた相手なのに、目と表情と話し方だけで二人の関係性が昔に戻った、と分かる流れが素晴らしいです。
そして三人は、彼処に立つ。
負けてしまうのか……?
記憶喪失も反撃のきっかけにはならず、いよいよもう無理だと思い始めたころ、このシーンが来た時は「ああ、貘さん、ついに負けてしまうのか……」と達観してしまいました。
連載時にこの見開き見てる時はもう完全に諦めてて、目が潤みそうになっていました。今まで十年以上その姿を追い続けてきたのだから、嘆きは要らない。
そして全てがひっくり返る
もう絶体絶命なのに諦めない貘さん、そしてこの緊張感の中で炸裂する夜行さんの顔芸の対比が凄すぎ。まさに、見事!
そして訪れる、近年稀にみる衝撃……っ!!!
駭週用伏!
駭週用伏!!
駭週用伏!!!
貘さんの内に秘める狂気がヤバい……
自分はいかに嘘食いを楽しんできたか
『嘘喰い』はあまりにも伏線の張り巡らせ方が用意周到すぎて、自分にとってはミステリー小説を読む時のような心構えになります。
それゆえ、この奇なる、稀なる、貴なる作品にどう接するか悩みました。
先がどうなるのか予想して他の人とワイワイ楽しむのか。
出来るだけ作品にフラットに触れて、最大限の驚きを味わうべきか。
自分はミステリー映画の類を鑑賞してて、考察や推理というレベルではなく、起こり得る色々な可能性を考えてしまって、そのうちどれかが当たってしまうような悪癖がありました。これがまだきちんと伏線を1個ずつ検証して、理論的に確信をもって一つだけの仮設を言うのならまだしも、全ての馬券を買ってどれかが当たるようなものだから、当たっても面白くもなんともないですし、自分から作品をつまらなくしている愚かな行為でしかありません。
そんな折、Mixiコミュで屋形越え失敗の日を賭けた件を予想当ててた人が居ました。ただの予想だからネタバレじゃないのに、ネタバレくらったかのような妙な気分を味わってしまい、心を決めました。なるべく考えようとせず、最大限の驚きを味わおう、と。誰とも関わりあわず、孤独に楽しもうと。
近年は意外な展開というものが使い古されてきて、そうは簡単に驚くという体験ができないと思います。そんな中にあって『嘘喰い』だけは違いました。常に先がどうなるか分からず、ワクワクするのです。こんな体験は久々です。それでいて事前に伏線が巧妙にはられているから、じっくり再読して考察すれば、かなり先の展開を予測することも可能という贅沢な作りです。
推理が不可能な方が良いかといえば、そうとも思えません。例えばこのような問題を仮に正解できたとしても、納得できないし、何よりも面白いとは思えないでしょう。
『嘘喰い』はアンフェアにならないようにこっそり伏線をはりつつ、警戒心のない読者を翻弄し、熱心な知的探求者には上質のパズルを提供していると感じます。たとえ事前の予想が当たったとしてもダメだとは思わせず、素晴らしい演出も相まって感心させるだけの熱量があるのではないでしょうか。
といった状況で完全にノーガードだったため、閏秒が炸裂した瞬間はもう心地よいくらいに驚きました。近年稀にみる衝撃です。ヤングジャンプを何回も読み返し、「時報 2回」で検索して、これはもしかして……と思ってからの、次週からの伏線説明の数々を存分に堪能しました。慌てる銅寺立会人と自分がシンクロした読者も多かったのではないでしょうか。
それにしてもまさか4話に渡って伏線解説が続くと思ってませんでしたが、あんな大量に数年レベルで伏線仕込んであったら、そりゃ4話も使いますよね。
蘭子による解説
蘭子のこの表情、妙に好きです(語彙力が欠乏)。
かなり複雑な心理戦のはずなのですが、閏秒の視覚的な説明といい、この読みの部分といい、説明がかなり分かりやすくて、すっと頭に入ってくるのが素晴らしいですね。
普通の状態だったら、立会人の中に閏秒に気付く者が出たかも知れませんが、プロトポロスという通信が使えない状態で一ヶ月近く滞在しているので、ニュースなどで閏秒を見かける機会もなかったのと、夜行さん以外は音しか材料が無かったということもあり、閏秒の発覚がされにくかったという側面もあるのではないでしょか(それでも創一だけは、無意識に夢で9時に用事があったり、最後に振り向かないことを確信していましたが)。
まさに、マジシャンズセレクト
そして勝利を確信したかのような、貘さんの笑い。
とはいえ、まだ4分58秒しか蓄積してないと認識していたので、勘がにぶくて騙されやすい自分であっても、まだこれから何か起こりそうだぞ、とは構えていました。
構えていましたが、さすがにこの後の展開はちょっと驚きましたね。演出力がほんと凄まじい。
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