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小説

海賊島事件

海賊島事件 (講談社ノベルス)

海賊島事件 (講談社ノベルス)

上遠野 浩平,金子 一馬
講談社
2002-12-13

稀代の悪魔絵師こと金子一馬氏の挿絵とあいまって独特の雰囲気をもつファンタジー小説、『殺竜事件』『紫骸城事件』に続く「事件」シリーズの3作目。これからいきなり読み始められるようには作られていますが、最初から読む方が楽しめるように作られているのも確か。
ファンタジー世界での独自ルールと密室などのトリック性を混ぜた作法論を受け入れられるかどうかで評価は分かれそうですね。というのも、おそらく、トリックを推理しようとする輩には不向きでしょうから。そのルールの独自性ゆえに、まず読後まではまず推理しようがないゆえに。
個人的には伏線もうまく張りつつ、それを最後にちゃんと回収しているので気にはならないし、いつしか袋小路に入るに違いない物理トリックものの、新境地になりえるのではないかと感じていますが、いかがなものでしょうか。
このシリーズを通して共通して思うのは、世界観やキャラクターが魅力にあふれていて、発想が面白く、大きな力の描写・カリスマ性の持たせ方が上手い、といったところですね。これだけしっかり作りこみつつも、文章はそつなく読みやすく、楽しませるようとする術に妥協していないあたりがキリングタイムに最高です(誉め言葉ですよ、念のため)。
あと忘れてならない共通事項といえば、しおり。毎回このシリーズは講談社によくあるようなしおりではなく、オリジナルの違うしおりがついてきます。そこにはその作品の象徴となるらしきものが描かれていて、毎回楽しみにしています。最初に何よりもしおりを確認するくらいに。
当方、密かにしおりを集める趣味を持ち合わせていまして、いつかはしおりのコーナーも作ってみたいと思っていまして、そこには当然のように当作品のしおりも紹介したいと思っている次第です。

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