期待の新作……?
ラブプラスのファンで、ミステリーは大好きだし、アドベンチャーゲームも嗜む、とくれば買うしかないでしょ! だって制作陣も自信たっぷりみたいだし!
そう思いつつもシナリオ担当の藤ダリオという方の名前でググったら、すごい評判だったんですよ。悪い意味で。良い評判を探し出すほうが難しいレベル。俺が大学生だったらならともかく、社会人で一児の父でもあるので、結局手を出さずにいました。チキンと呼ぶなら呼べばいいさ。時間は大事に使うものでしょ。
そして発売した頃になると、予期してたとおり、仕事がかなり忙しくてゲームなんて全然できない状況だったのですが、たくさんのルートレターの感想見てると、あろうことか遊びたくなってきてしまったのです。
これはあれですかね、カリギュラ効果ってやつですか。禁止されるほどやってみたくなる心理現象。押すなよ、絶対に押すなよ!(←微妙に意味が違う)
ついに買っちゃいました(過去形)
そして遂に我慢しきれず購入して遊んでしまった(過去形)んですが、なんというか違う意味でかなり満喫できてしまいました。音楽も自己主張しすぎないタイプのおとなしめな曲調で、キャラクターだけでなく背景も実に美しいし、操作性も悪くないし、文章のフォントも高解像度でキレイで読みやすく、バグも無いんですよ。
ここまで聞いてたら名作なのかと思うでしょ? ところがアドベンチャーゲームなのに肝心の文章がヒドいという。角川ゲームズという出版社関係で文章をどの会社よりも大事にしてそうな会社から発売されたアドベンチャーゲームが、よりによって文章の品質が悪いって一体……たまたまこの前に遊んでた『Life is Strange』ってゲームも主人公がマックスという名前なんですが、同じ名前でここまでシナリオの質に差がありすぎるとは……
ゲームというのは総合芸術みたいなところがあって、どこか悪いところがあっても他のところで突出した良さがあったら、その一点だけでも名作になりえるところがあると思うんですが、ルートレターの場合は文章以外が全て無難にまとまってて、文章だけが凹んでるスターグラフみたいな代物なんです(星というかアップルマークみたい)。改めて思い知らされました、アドベンチャーゲームは文章が何よりも大事だと(当たり前すぎて誰も言わなかった事実を、ルートレターが身を挺して教えてくれた!)。
文章的には特に破綻した表現とかなくて、誤字も一箇所以外は見当たらなかったし、別に毒電波文章になってるわけではないんですよ。ちゃんと二行で読みやすくなるように文章も適切に改行されてますし。それなのにこのシナリオの酷さは一体……素材は良かったのに、調理でメチャクチャにしたというか皿に盛らずに地面にそのまま置いちゃったというか……
登場人物が凄い(悪い意味で)
登場人物がみんな性格悪いんですけれど、中でも主人公のマックスが抜きん出て性格が悪いのが凄いです。誰も彼に感情移入できないんじゃないでしょうか。というかマックスに感情が無さそうですし。人としての心がないサイコパスでしょ、アイツ。
購入前にAmazonレビュー見て、主人公の性格悪そうな予感はしてました。
現時点で星1は6人か、なんとかこのレビューを取り下げてもらわないと。
よし、まずはこのレビュアーの名前で検索してみよう。
お、一人目からいきなりSNSのアカウントを見つけたぞ、のっけから俺ってマックスだ。
ここにアップされてる写真を見るに○○県△△市□□町の喫茶店で働いているようだ。
新幹線に乗って駅からすぐだな、今から行こう。
ウン時間後、到着した。
あ、そこの店員さん、ここの喫茶店で働いていると思われるルートレターに低評価を付けたアマレビュアーを捜してるんですが。
確かハンドルネームは……え、あんただって!?
ここはマックスモードで追求しよう。
レビューを修正してください→レビューを消して→レビュアーをやめろ!→アカウントを削除しろ!
【レビューを消して】
今すぐレビューを消してくれ!
さもないとあんたのお気に入りリストに入っているエロゲーのタイトルを店内で喚いてやるぞ。
それともここじゃ話せないか?なら場所を移すか。
ふぅ、レビュー削除の約束を取り付けたぞ、思い立ったら即行動、俺ってマックスだ。
…なに!?俺のレビューに「参考にならない」が付いてるぞ!
俺を本気で怒らせたな。
こうなったらルートレターの評価を全て星5に変えてやる!
またマックスなレビューをしてしまった。
P.S
このレビューはフィクションです。
主人公のキャラクター像はそれなりにノンフィクションです。
クリアした今となっては、これでもまだ性格がマトモに感じられるというのが恐ろしい。
実にゲーム内容を忠実に表現されてるマックスなレビューであると思ったものの、残念ながら作中のマックスに比べるとまだまだ狂気が足りてない。プレイし始めた頃は、行動に対する理由付けが不十分なんでキチガイに見えるのかな、と擁護しようと思ってたんですが、最後までプレイするとさすがに庇いきれないものがありますね。
赤いものが苦手な見ず知らずの男性の目の前で、わざわざ準備してきたジャムを店の床に落として、さんざん質問して相手が体調悪くなったら「今日はこのぐらいで勘弁してやろう」とか、どんな理由付けしてても無理があるのでは。ちょっとまともな神経じゃこんな本編の再現とか無理だと思うので、先程のレビュアーの方はよくやったのでは。まぁ『正気にては大業成らず』と言いますしね(←意味がだいぶ違う)。
なんでこうなっちゃったの?
シナリオ展開については、インタビューで驚きの展開があると語られてましたが、特に驚く点がないのに驚きました。というかこんなんで仕事取れるのが驚きです。特殊なコネでも持ってるんでしょうか。
これがファミコン時代の有象無象が混在してた時期に発売されたのならともかく、今の時代にここまでの歪な代物が世に出回っている事実に驚きます。誰もコレに対しておかしいと言えないチェック体制なんでしょうか。たぶんテストプレイヤーは全員これがヤバいと気づいてたんんでしょうけれど、でもこのゲーム、全世界に向けて発売されちゃってますよ?
明らかに失敗すると最初からみんなわかってるのに、偉い人は言うこと聞かないで落とし穴にどんどんハマってく、みたいなプロジェクトってよくありますよね。Xbox360本体は開発者が熱暴走する件を訴えてたのに、会社側がそれを無視して発売したせいで、あとからとんでもない損害になって信頼も失ったということもあったなぁ、と。まぁゲーム業界に限らず、ありそうな話ですけれど。
操作性は悪くないと書きましたが、アドベンチャーゲームとしてみると爪が甘い部分が多いです。キャラごとの音声オンオフがなく、タイトルに戻る方法がないのでリセットするしかないし、ウィンドウの透過設定もできないし、今時のアドベンチャーゲームに標準装備されてるものが不足してます。一番驚いたのは、ギャラリーモードと銘打ちながらもCGモードは存在しなくて、シナリオモードのみ存在している点です。キャラクターデザインの良さをあれだけ打ち出してるってのに、シナリオがそんなに自信あるの……? 俺らがそんなもん見たいとでも思ったの……?
あと浅いなーと思ったのが、逆転裁判やダンガンの見た目のみパクってる点です。物語に緩急つけようと思って、安易に似たようなシステムいれた感がありありで、ゲームとして何が面白いのか本質を見極めようとしてない気がします。まぁ今思えば、マックスモードは悪い意味で伝説になりましたが。
我慢の限界なのは俺の方だ!
でもまぁマックスモードは、高度なギャグと思えれば許せるんじゃないかと思います。
菩薩のような広い心を持ちましょう。心の修行をするつもりで、さあ。
ラブプラス勢的な見方をすると、ラブプラスでは絶対言ってもらえないようなセリフを、寧々さんボイスで再生してもらえるので、ある意味ご褒美でした。だって寧々さんに「デブとキスするわけないじゃない」なんて言われたら、ゾクゾクしてきません?(末期症状)
推奨する楽しみ方
まぁそんなわけで、このゲームを一番楽しめたであろう人は、こんな代物と全く知らずに購入してしまって落胆しつつも、次第に一周回って慣れてきて、スレとか見てみんなでワイワイ文句を言って楽しんでた層じゃないでしょうか。
【PS4/Vita】√Letter ルートレター 1通目 [無断転載禁止]©2ch.net
【PS4/Vita】√Letter ルートレター 2通目 [無断転載禁止]©2ch.net
【PS4/Vita】√Letter ルートレター 3通目 [無断転載禁止]©2ch.net
【PS4/Vita】√Letter ルートレター 4通目 [無断転載禁止]©2ch.net
【PS4/Vita】√Letter ルートレター 5通目 [無断転載禁止]©2ch.net
俺は評判聞いてから買ったクチなんで、ある意味防御態勢とりながら遊んだわけなので、そこまでショックでかかったわけではないですしね。そういう意味で言うと『ルートレターを予約して定価で買ったんだぜってのは5年は自慢できると思う』ってのは至極名言だと思います。発売二週間経過後でしたが、プラチナトロフィー取得後にこのスレ見て盛り上がってるなーと遠巻きに見てたのはいい思い出ですね。
そうそう、このゲームでいいところがあるとすれば、プラチナトロフィー取得が簡単なところでしょうか。うまくやれば10時間くらいで取得できるから、可処分時間が少ない社会人にも手を出しやすい! クリアまで数十時間もかかって、トロコンするのには数百時間もザラなんて大作時代に、なんて人に優しいゲームなんでしょう!
このゲームで一番恐ろしいところを挙げるとしたら、マックスの性格の悪さもさることながら、制作陣が本作を出来が良いと思って自信満々で売り出しているであろうところでしょうか。インタビューに書いてあることと、実際のゲームの出来栄えが反比例してるので、他のゲームの話をしてたの?と疑うレベルです。
でもまぁ逆に、このレベルの酷さを意図的に作ろうとすると、ここまで愛されるクソゲーにはなり得なかったんじゃないでしょうか。制作陣は一生懸命作ったものの、気がついたらこんな事になってしまってる、という偶然の産物でないと、ここまでの風格は持ち得なかったのではないでしょうか。
何も語りようがないただつまらないだけの凡作よりは、ここまで突き抜けた酷さがあった方が、酒のツマミになる気がします。とりあえず世界一ルートレターを楽しんだと思われる方のツイートでも貼っておきますね。
ルートレター、各分岐ルート毎のデブの「あぁぁぁぁ……」の違いです pic.twitter.com/ZA3mEt8ROB
— Nore139 (@Nore139) 2016年8月15日
北米版 ルートレターが届いた。世界各国のデザインは画像の通り。北米版同様、PS4版とVITA版ともに1.01のアップデートがあり、容量は北米版とほぼ同じ pic.twitter.com/XDyLaUNkvl
— Nore139 (@Nore139) 2016年11月17日
世界各国のルートレターをプレイしつくした。ネタにされがちだけど、基本システムは丁寧な作りのいろんな意味で楽しいゲームだった。島根に行きたい #ルートレター pic.twitter.com/XxmxhEQGOj
— Nore139 (@Nore139) 2016年11月20日
ルートレターガチ勢は格が違う……
こうした斜めな楽しみ方ができる作品だと思いますが、この有様を適切に表現してるツイートがこちらになるかと思います。
昨日、花火の後で友人とお酒を飲んでいたところ、「ルートレターはどうだった?」と尋ねられたので、とっさに「シベリア超特急や彼岸島のような楽しみ方をするゲームではないか」とお答えしたのですが、これが適当に答えたわりに自分でもけっこう腑に落ちている。
— 鹿園寺平太@L.A.T1・2巻発売中 (@heita_rokuonji) 2016年7月31日
あと個人的に楽しかったのが、オリジナルエンドルート募集キャンペーンですね。
本編は全十章なんですが、八章までは共通ルートになってて、九章・十章でルートごとに分岐するような構成になってるので、九章・十章で自分のオリジナルのルートを書こうと思えば書けるわけです。
書けるものならなっ!!
応募規定が幾つかあるんですが、個人的に一番目についたのがこの表記です。
オリジナルエンドルート募集キャンペーンの応募規定
5. 性的、わいせつ的、暴力的、差別的な表現、その他、読者に過度の不快感を及ぼすおそれのある作品は受け付けません
自分らがさんざん上記規定を破っておきながら、応募原稿には要求してくるとは一体。
『オレが書いたということもあって、大人がプレイしても面白いんじゃないかなって思います。』とか自分で言うだけはありますね。まぁ違う意味で大人がプレイしても面白かったけど。
とはいえ、文章を書くこと自体は好きですし、色々と時間がない状態でしたが、あとからいい思い出になるかな、と思ってせっかくなので応募してみました。
まぁデスノート小説を書く練習として、自分の文章入力速度がどの程度なのか、構成を立てて文章に起こすのにどれくらいかかるか、息子の相手をしながらも毎日執筆時間にどれくらい当てて計画できるか、といった訓練も兼ねて楽しんでみました。
といった感じに、ペルソナ5を出す前にキャサリンで練習しとこう的なノリで書こうとしたんですけれど、これがもう想像以上に難しい。あの破綻しまくったシナリオの80%を過ぎたあとから、突然バトン渡されてもどう辻妻つければいいのやら。バトンと思ってたら、導線が残り少ない燃えさかるダイナマイトだったよ!
そういう苦労があったので、他の方が書かれたルートを読むのは大変楽しみだったんですが、結果発表の9月15日にちょうどペルソナ5が発売されてから遊び続けてたのでちょっと忙しくて読む暇がありませんでした。受賞作、落選作あわせて自分が知ってるのは4編ですけれど(他にもあったら是非教えてください!)、どの方も苦労されたんだろうなーというのが作品から伺えますね。
どのルートも「そう来たか!」と作者の方々の苦悩の結実を見る思いでした。ちなみに受賞作の七人の影武者ルートを書かれた方は、なんと島根県の方だそうです。どんな気分であの作品を書かれて、あの受賞コメントなのか、機会があったら飲みに行って本音を聞き出したいですね。
まぁある意味本作は島根巡礼者が増えなくはないとは思いますけれど。
『お、ここがマックスがジャム落として脅迫したケーキ屋か』とか言いながら島根を歩いてみたくないですか?
これら四編を拝読した結果、改めて思いました。自分が書いたのが一番ヒドいな、と。
元から入賞はありえないものにするつもりで書いてましたが、今思えば制作陣への精一杯の皮肉を込めて、悪い意味でノリノリだったな、と。
せっかく書いたので自作ルート分はWeb上にアップはしてるんですが、直接URLを貼るのはちょっと勘弁してよ。
さぁ、みんなで楽しみましょう
この機会に、未プレイの方は怖いものみたさで遊んでみてはどうでしょうか。
せっかくだから俺はこの赤いゲームを選ぶぜ!(赤くない)
クリア後にスレでみんなの文句見てたら、十分元が取れるとは思います(金額的には)。
さぁ、君ならどうする……?
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