「バレンタインデーの時、戸棚のカプリコ食べたでしょ?!」
と怒られたので、ホワイトデーの翌日にまみりんご所望のチーズケーキを買いにやってきました。さて帰ろうかと思ったら、電話で追加のお願いが。ここでしか売ってない、海外のポテトチップスです。
「え、一袋300円以上もする、アレがいいの?」
「あの甘くておいしいチーズケーキ食べてたら、辛いポテチも食べたくなるのが当たり前でしょ?」
「ああ、うん、そうだね。で、どの味がいいの?」
「アボガドオイルで揚げたのがいい」
「わかった」
確かにそう言われたので買ったのですが、その直後にふと思い返して見直すと、アボガドオイルじゃなくてオリーブオイルで揚げたポテチを買ってました。
あー、こりゃ怒られるなー、と思ったのですぐさま引き返して、新たにアボガドオイルのポテチを買います。レシートもあるし、ついさっきなので交換してもらおうかと思いましたが、なかなか美味しいので自分でも食べたくなったので、両方とも買ってくることにしました。
「えー、二つも買ってきたのー? もったいなーい」
間違えて買ってきたとか言ったら怒られそうだったので、言い訳してみました。
「たまには自分でも食べたくなってきてさ」
「えー、どうせ味の違いとかわからないんだから、近所のスーパーで70円で売ってるカルビーのでも良かったんじゃないの?」
と上から目線で言われたものの、ケーキとポテチがあって口調は上機嫌です。これ以上は追求してこなかったので、やれやれと思い買い物かごをおろして自室で休んでました。
しばらくして居間に行くと、まみりんがポテチ食べて幸せそうにしてました。オリーブオイルの方のポテチを。え、と思ったものの、下手に何か言うと怒られそうだったので無言でいました。
そしてまみりんがポテチを食べ終わって袋をたたもうとした時、俺の視線をおって、そこに「olive oil」と書いてあるのを見て、それでもまみりんの表情に変化がなかったので、ああわざと分かってて食べたんだな、と思って。
「なんだ、一度に両方とも食べるつもりだったんだ」
「え? アボガドのしか口に合わないから食べないよ。オリーブのはいらないよ」
ああ、そうだった、まみりんは英語が苦手なのです。「eye」と書いてあったら「え……やえ?」と読もうとしたりするくらいに。
必ずしも真実を述べることが幸福には繋がらない。今までの結婚生活でこの事実を叩きこまれている夫としては、妻に見つからないうちにアボガドオイルのポテチを食べて、袋をゴミ箱に捨てておくのでした。
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