10代女子を中心に、人々のうまくいかない日常を描くオムニバスショート。
コメディか、ホラーか、背徳か、純真か、説明不能の“心がざわつく”思春期コミック。
(背表紙より)
かわいらしくシンプルな線で構成された絵柄からすると、おそらく殆どの人が巷で流行っている萌え系ふんわりマンガだろうと想像してしまうことでしょう。しかしながらこれはかなりの劇薬です。絵柄で不快感を催すようなタイプではないのですが、かなり心に訴えかけてくるものがあります。
かなり多彩な方向性をもった短編集で、笑える話も多いのですが、けっこうエグい話も混じっています。冒頭の雰囲気からでは方向性の想像がつきにくく、一度暗いオチの短編にあたったが最後、この作者は何をしてくるか分からないという気分に陥ってしまい、落ち着いた気分で読み進めるのは困難でしょう。そう、まさに、心がざわつく。
鬱な話で心を持っていかれた時は、もう少し明るい話が来てほしいな、と願ってしまう。明るい話が続くと、たまには酷いオチがきてくれてもいいのに、と願ってしまう。あまりにも矛盾する気持ちを抱えたまま、シュレディンガーなロシアンルーレットでもしているような心境で読み進めてしまうのです。この不可思議な読後感は一体なんなのだろうか。
個人的にはかなりオススメしたい作品なのですが、人によって向き不向きがありますね。事前に自分に向いてるかどうか確かめるのであれば、Web掲載されている短編マンガ『大好きが虫はタダシくんの』が良い試金石となるでしょう。
できれば本屋があいてそうな時間に読んでみることをオススメしておきます。うっかり夜中に読んでしまったがため、小雨のふる夜中に書店をかけめぐって4巻とも購入し、一度に読み終えてしまった挙句、短編集の存在に気づいてまた購入しに行ってしまう恐れがありますので。
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