前半が『428』みたいに複数人物がザッピングするとか、『冷たい熱帯魚』の監督だとか、そういった情報しか知らずにレンタルしようとしたら上巻・下巻構成になってて驚いて、収録分数が237分と分かって更に驚き、鑑賞したらぶっ飛んだ内容に驚かされてしまいました。
『冷たい熱帯魚』と比べると、物語前半はシリアスな中にもユニークさがあって、軽く見れる感じです。だから冒頭の「実際の事件に基づいて作られた」という文言がピンと来ないんですが、最後あたりになると納得してしまいました。鑑賞後に調べたら、なんとまぁ盗撮王子のところもベースとなる事実があったとは意外すぎました。事実は映画よりも奇なり。
それにしても、扱ってるテーマが「キリスト教、罪作り、盗撮、アクション、カルト教団、三角関係、女装」といった感じにいわくつきなものが多すぎて、こういう作品を見てるとゲームじゃこんなストーリーは無理すぎるなぁ、と思ってしまいました。メディアの性質的にも、優秀なシナリオライターの数的にも、
4時間弱という長丁場なのに、一度鑑賞し始めてしまう「奇跡まであと*時間」というテロップで目が離せなくなり、奇跡が起こった瞬間にようやく現れるタイトルバック、あれを見た瞬間に「これは凄い作品だぞ!」という確信めいた予感にとらわれ、そのまま流れ込むような展開で最後まで目が離せなくなりました。求心力が半端ないので、後から思えば細かい指摘は幾つかあるものの、見てる最中は「こまけえ事はいいんだよ!」といった感じで物語の力強さに鷲づかみにされてしまいます。
賛否両論な作品で万人向けではないですが、映画祭では大うけするようなタイプの娯楽作品、と表現すれば何となく傾向を分かっていただけますでしょうか。もっとくだけて言えば「お芸術してるわけじゃなくて娯楽性は高いんだけど、お上品さはないというかむしろお下劣、というか変態ぞろいですよ!」といった感じです。
そういうタイプの作品だから、自分一人ではなく誰かと一緒に見ないといけないとなった時、誰と見るか(見れるか)といったリトマス試験紙みたいな存在にもなれそうな気もします。ちなみに我が家では自分と妻と息子(二歳)と楽しく拝見しましたが、皆さんが家族と一緒に見ていいかどうかを保障する限りではありません、あしからず。
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