PR(記事内にアフィリエイト広告が含まれています)
スポンサーリンク
小説

死の接吻

死の接吻 (ハヤカワ・ミステリ文庫 20-1)

死の接吻 (ハヤカワ・ミステリ文庫 20-1)

アイラ・レヴィン,中田 耕治
早川書房
1976

某作品*1の長所でもあり欠点とも言える部分を克服している作品の例として挙げられていたので入手し、そしてすらりすらりと読み終わり、そしてとてもとても微妙な気分になった。
確かに普通に面白かった。50年前の作品なので、古さは否めなくもないが、古さが格調という言葉で置きかえられるようなタイプだ。そつなく作られており、完成度も高い。
それなのに、僕はなぜ手放しに誉められない?
僕は一体何を求めていたのだろう?
某作品への言及とは、率直に言えば「トリックのためのトリックである」という点だ。それに対して死の接吻は「物語の演出のためのトリックである」というわけだが。期待が深すぎたのだろうか。口語で表現すれば「ふむ」といった感触だった。某作品では「おお!」という興奮があったのだが。これはむしろ逆であるべきだったのだが。
僕は結局、「トリックのためのトリック」を求めていたのだろう。「人間が描けていない」なんて知ったことではない。単純に驚ければ、それでいい。それは、それで、いい。そういう好みの問題でしかないのだろう。そしてそれが結局は全てなのだろう。
仕掛けと仕掛け、先に生まれたのは?

  • 注1 : 書名を挙げること自体その作品のネタばれになりうると思ったので、同意の上で以下をお読みください。その某作品の書名をカナ読みすると、ハで始まり、こで終わります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました