あの『殺人の追憶』の監督の新作、しかもミステリーと聞いて食指が動く方なら、ぜひ見に行きましょう。本作も期待を裏切らない出来栄えです。
冒頭のインパクトのあるシーンで呆然とさせられ、小道具の使い方の巧みさやエッジの効いた演出、効果的な音楽の使い方でグイグイと映画世界に引き込まれ、気がつけば残り時間を気にする間もなく見終えてました。
重い内容ではありますが、だからと言って鑑賞しづらいというわけでもなく、それでいて深みがあります。伏線の張り方や構成の上手さがかなりのもので、二度目以降の鑑賞が楽しめる作りとなっていると思います。それだけでなく、主演の二人の演技が素晴らしかったですね。
鑑賞し終えた後に思い返すと、『MOTHER』という原題に『母なる証明』という邦名をつけたセンスも絶賛しておきたいです。言葉としての印象だけでなく、そこに含まれている深い意味合いもあわせて、近年稀にみる邦題ではないかと感じました。
個人的には今年みた映画の中でも一・二位を争うくらいの出来栄えでした。そろそろ公開が終了する地域も多いとは思いますが、ぜひ劇場でご覧になっていただきたいです。劇場内の観客がみな緊迫した様子でいるというのは、ひとりでDVD鑑賞している時とは全く違う経験じゃないかと思いますし。
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