今までは偽りの新婚旅行(しかも一人で。しかもストIII全国大会に出場しに)なら行ったことはあるんですが、今度こそ本物の新婚旅行に行けることになりました。
「沖縄はどうかなぁ〜」と、まみりんがパンフを持ってきました。海外はテロとか怖いんで俺が却下したんですが、それでもルンルン気分で選んでます。でも十年後には「新婚旅行、国内ですませやがって!」とハト嫁ばりの悪態をつくのでしょうか。
そんな事を思っていると、TVでちょうど沖縄のTV番組をやってました。観光名所でも予習しておくかフフフ……とか思ってたんですが、モニターに映し出されたのは華麗なオーシャンビーチではなく、過酷な川口探検隊の世界。
でけえヒルとか色々出てきたんですが、圧巻だったのが黒光りして巨大でしっぽが光ってるエイリアンじみた物体。まさかホタルの幼虫だったとは。特殊メイクなしで映画に出れるよ、キミ。それを見て、まみりんが一言。
「沖縄って地球じゃないみたいね」
そして夜。まみりんが「ダーリン、ゴミの日だよ。ゴミ捨ててきて」と言うんでゴミ袋を手にしたら、中に沖縄のパンフが。
そんな感じに二人で色々と候補地を話し合った結果、記念すべきハネムーンの行き先が決まりました!
くいだおれ人形の前でくいだおれそうな妻
……どうして大阪? 新婚旅行って書いてハネムーンって読むんじゃなかったの? 七年も一緒にいるとこんな選択もありですか?
まあ美味しいもの食べれて楽しければそれでいいやってことで、新婚旅行に金土日にかけて行くことにしました。そういうわけで職業訓練校が始まって三日目にして、いきなり欠席です。欠席届を提出しなければいけなかったんで、正直に書きましたとも。
理由:ハネムーン(←原文ママ)
訓練校の先生に「前代未聞」とまで言わしめましたが、平日にユニバーサルシティに行くにはこうするしかなかったのです。とりあえず退学にならなかったんでよしとします。
そんなこんなで相変わらずの行き当たりばったりな感じで新婚旅行に出発しました。
ユニバーサルスタジオ(の前の店)ではしゃぐ妻
最初は土曜にユニバーサルスタジオに行こうと思ってたんですが、平日に行くように言われて素直に従って正解でした。そのかいあって、殆どのアトラクションを見れました。土日だと恐ろしいことになっていたかも……
個人的オススメはジュラシックパークライドとT2の立体映画とバックツゥーザフューチャー。ジュラシックはかなり濡れます。T2は本編の映画も凄かったですけど、それが始まるまでの意外な演出がなんとも。バックツゥーザフューチャーは期待してなかったんですが、実際に体験したら凄い臨場感でした。
恐竜ステーキがメニューにあるレストラン
予期せぬ出来事も色々あって面白かったです。ライドでは「メガネや帽子が取れるので、バッグなどにしまっておいてください」と注意されたのに言うことを聞かなくてカツラが飛んでったオジサンがいたり、鳥のショーでお札を取りに行くはずがニセ札だったので取りに行かなかったとか、作り物のジョーズと安心してたらガイドのお姉さんが食べられて観客が代わりにボートを操作することになったり、すばらしい演出(?)でした。
ジョーズに食われる妻
いろいろお土産屋を見てたんですが、バックツゥーザフューチャー好きな知人がいるのを思い出したので、おみやげ買ってみました。
デロリアン耳かき
大阪の5000円耳かき行きたかったのに妻の許可がおりなかった思いを込めて。込められても。
夕食は青龍門なる奇妙な中華料理屋に。なんか日本と思えない異世界っぷりでした。入り口では奇妙なブタの扉が甲高い声で「どちらまで?」と聞いてきやがりました。妻が「チ*コって言ったらなんて言うかな?」と言うのを無視して「青龍門」と答えて先に進みました。店員が横にいさえしなければなぁ。
料理は美味しかったのですが、雰囲気に完全に飲まれました。トイレは用がなくても行っておくべきでしょう。なんとも形容しがたい天井からぶら下がった鉄の塊が店内を行き来していたりしてて、知らずに見たら飲食店に見えないだろうなぁと思いました。
そして夜。翌日お会いする予定のGRさんいわく、「こちらから夜12時にお電話してもいいんですけど、時間が時間なだけにおじゃまだったら悪いかな、って思って」ということで、俺からGRさんへ電話をすることに。最初はおじゃまの意味が分からなかったんですが、あ、そうか、ハネムーンだったっけ。
しかしハネムーンだというのに、帰ってきて10時半の時点で既に眠りそう。
「まみりん、12時に起こしてね」
「まかせといて」
金曜ドラマサスペンスを見ながら妻が答えたのを聞くと、すぐにまどろんでました。まさか午前一時に目が覚めるとは思わずに。
「なんで12時に起こしてくれなかったの?!」
となりですやすや寝てる妻をたたき起こすと、目をこすりながら妻は言いました。
「ねえねえ、ドラマの犯人誰だった?」
「知るか!」
あやうく成田離婚ならぬ浪花離婚になりかけました。そんなこんなで一時間遅れでGRさんにお電話です。電話遅れてすみません。
「嶽花さんは明日、どちらに行かれるんですか? それにあわせて待ち合わせを考えますんで」
「えーと、考えてないです」
「(5秒ほど沈黙して)……はぁ。じゃあ午後5時半前後に電話をください。そのとき居る場所に応じて待ち合わせを考えますんで」
あまりのどんぶり勘定さ加減に戸惑いを隠しきれませんでしたか? ちなみにハネムーンの計画ですが、初日ユニバーサル、二日目GRさんと夕方会う、三日目帰る、というアバウトっぷりです。九州男児と呼んでください。だてに結婚式の挨拶を挙式中に考えたりしません(実話)。
そんな我々ですから、翌日は大阪市内に向かう電車の中でガイドブック見ながら、目に付いたところから無作為に見てまわりました。
「大阪と言えば、たこ焼き食べたいねぇ」
の妻の一言で食いだおれ付近に一直線。そしてたこ焼きたべたり、吉本の建物だけ見に行ったりしました。すっかり忘れてたんですが、世間ではWC真っ最中なようでして。まさかグリコおじさんとかに道楽みて思い出すとは。
えらく貴重なものを見たんでは
また元に戻すんでしょうか
すっかり満足したら、次は串カツを食べるためだけにスパワールドまで移動です。我々の行動原理は食い物です。もちろんスパワールドは素通りで串カツ屋へ直行です。
ちゃんとキン肉マン二世で予習したんで、胸焼けしないようにキャベツを一箱食べきりましたが、それでも胸焼けしました。少しでも突つかれたらウッとくるくらいヤバい状況でスパワールドまで引き返したら、ミラクルゲートなる場所にてビルの中を突き抜けまくってる凄まじいジェットコースターを発見。
「なんか凄いね、コレ」
「ダーリン、乗ってみてよ! 私は下から見てるから!」
「えー、やだよ」
「まさか怖くて乗れないの?」
「まみりんこそ怖いんでしょ」
「私は妊婦だからダメなの!」
「嘘つけ(断言できる悲しさ)」
「それはそれとして、ダーリン、男を見せてよ!」
「怖くなんかないやい、怖くなんかないけど、今乗ったら街中にミラクルシャワーが降り注ぎそう……」
「串焼き色の雨は怖いね……」
そんなわけでそのまま素通りしました。今度はどこに行こうかと町をうろついてたらペットショップが目の前にあったんで二時間くらい二人でこねこを眺めてたら夕方になったんで、GRさんのお宅へ出発しました。一人で。
新婚旅行だと言うのに、一時間だけとはいえストIIIの対戦しに行く俺は(腕前はともかく)どこにだしても恥ずかしくないゲーマーではないでしょうか。すぐに死ぬといいと思います。
そんなかんじで嫁から一時間だけなら、と奇跡的に許可が出たんでGRさん&C-maさんご夫妻の愛の巣ことHGRSに行ってきました。
夫婦そろってストIIIを愛しているだけあって、当然のように基板とモニターとアーケード用のジョイスティックが完備してあり、まさに天国。お子さんもこのような環境で英才教育を受けて、さぞ凄いストIIIプレイヤーになるのではないかと。
今回は対戦したりなさすぎたんで、また大阪に来たいと思います。とりあえず一人で。嫁は実家に帰して。もちろん本気で言ってます。
そしてその後は嫁と合流する予定だったのですが、案の定どこに行けばいいのか分からず地下鉄でうろうろしてたんですが、そしたらこんな張り紙が↓
なんとか合流してホテルに帰ったら、お店はどこもかしこも閉まってます。仕方ないのでコンビニの出番です。
「ダーリン……ハネムーンなのにカップラーメン?」
何も言い返せないので無言でラーメンをすすりました。
さてハネムーン最終日。この後におよんで、どこに行くか考えてません。とりあえずおいしいお店情報だけは山ほどプリントしてきたんで、色々と検討してみた結果、唯一行き先が分かりそうなお店に行くことにしました。
そんな感じで行ってみた谷町六丁目の「洋食屋もなみ」ですが、ここは素晴らしかったです。
神戸牛が!
ステーキが!
ハンバーグが!
一口カツが!
本気で大阪に永住しようかと思うくらい美味しかったです。妻が止めなければ晩御飯も食べに行ってましたよ。ここはおすすめです。
そのあとは文字通り適当に大阪市内を徘徊しました。名所らしい名所にはたどり着けなかったあまり、駅にあったカエルの置物がかわいかったので写真をとったりしました。そしたら何人もの人間が振り返っていきます。
この表情はどこかで見たような。そうか、あの時だ。
昨年東京に行ったとき、オフ会の記念写真を撮るのにいい場所がなく、とりあえずと思ってロッテリアの前で写真を撮ったのです。「どこの国から出てきたんだ?」とでも言わんばかりに、いぶかしげな表情を隠そうともせずこっちを見てく、人々の視線の冷たさときたら。
でもかわいいので撮る。
これっていわゆる白いポストなんですかね?
そして遂に帰りの新幹線に乗りこみました。帰りつくまでがハネムーンです。帰りつくまではハネムーンっぽく会話を続けるのです。
「家に着いたらハネムーンも終わりだね。どうだった?」
「楽しかったよ、ダーリン。また行きたいね大阪」
「そうだね今度は一人で対戦しに行きたいね大阪」
「おいしいものも沢山たべたよねぇ」
「そうだねえ。いつもは節制してたけど、ハネムーンくらいはねえ。福岡に着いたら、パーッと焼肉でも行こうか?」
「何いってんの、もったいないからカップラーメンでいいよ」
帰りついてはいないものの、妻の中ではすでにハネムーンは終わったみたいです。こんにちは日常。
「ダーリン、そう言えば何か忘れてない?」
「……なにか忘れてる?」
「私達、ハネムーンに来たんだよね?」
そう言いながら妻は左手を目の前に出したのでした。その薬指には何もはまっていません。結婚指輪も、何も。
「あー! 自宅に忘れてきたー!」
そのころの自宅の結婚指輪
「ダーリン、他に忘れてることない?」
「他に何かあったっけ? おみやげは買ったし……」
「結婚して一年以上たってるんだけど、何か忘れてることない?」
「え? なに?」
「……プロポーズの言葉、まだ聞いてないなぁ」
「あ」
気がついたら同棲してて、気がついたら結納してて、気がついたら結婚してて、毎度毎度がそんな感じなんですっかり忘れてました。
「……はやくぅ」
妻は俺の言葉を待ってます。終着駅までまだ二時間以上かかります。逃げられません。仕方がないので暫く考えて、こう言いました。
「俺達にそんな言葉なんて、もう必要ないでしょ?」
そう言いながら頭を撫でてごまかそうとしてみました。
「むー」
少し不満そうな表情ですが、まんざらでない様子で妻はそのまま寝てしまいました。やれやれとほっとしてたら、ぼそっと妻が一言。
「今回はこれで許したげる」
やれやれ。次に旅行する時までには考えてないとね。
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