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日記

別れは突然に

病院から帰ってくると、にこりともせず、唐突に告げた。前置きをいくら用意しても、言うべきことは同じだし、結論からは逃れられないから。
「なんとなくそうじゃないかと思ってたけど、やっぱり俺、無精子症だった」
「子供、出来ないんだ」
「だからさ、もう俺たち、おしまいにした方がいい」
「え……」
「今ならまだまみちゃんは若いし、他の男の人を見つけて子供を作ったりできるんじゃないかと思うんだ」
「え……」
「別れよう」
「……」
無言で肩を震わせていたまみりんは、突然俺に両手を出し、抱きついてきた……と思ったら、その両手で両肩をガシッとつかみ、俺をゆすり始めました。そして般若のような表情で叫ぶのです。
「慰謝料はらえるんかーっ! はらえるんかーっ!」
……という夢をまみりんが見たらしくて、今朝はかなり機嫌が悪くて大変でした。
「で、夢の中の俺は迫られてどうしてたの?」
「なんか無言だった」
「夢の中の俺も、いきなり慰謝料とか愛のないこと言われて落ち込んでたの?」
「うんにゃ、あれは払えなさそうな顔だった」
正夢になりやしないかとドキドキしてきた。

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