最近、クラスでは昼休みに6ニムトというカードゲームが流行っています。と言うか流行らせました。どんなんかと言うと手持ちのカードを出しあっていって、最終的にいかに牛の首を取らないようにするかを競うゲームです。
プレイ初日、やっぱり流石にルールが掴めないのか、意味が分からず負けが込む人が出たりしました。例えばMさんですが、なんか危険が高い時にヤバいカードを出してしまって、牛を取ってしまうといった感じでございました。そうこうしているうちにその日は昼休みも終了。そして翌日、Mさんの気合は違いました。
「わたし、インターネットで必勝法を調べてきましたんで!」
そう言い放たれると、どのくらい強くなったのか皆の注目の的です。それだけに、ゲーム終了時に昨日よりも牛を多く取ってたのには皆が驚いていました。
「牛が30以上って、なかなか狙っても取れないんじゃ……」
と皆は思ってましたが、Mさんの気迫の前では誰も言い出せません。次は必ず勝つ!という決意の固い目をしていましたから。そして二戦目。
「牛が45って、どうやったら取れるんだ……」
と皆は思っていたに違いないです。危険な時に危険なカードを出すそのアグレッシブっぷりから、俺はちょっとMさんのことが心配になってきたので素で話しかけてました。
「あのー、Mさん、確認なんですけど、これって牛を取るゲームじゃなくて牛を取らないゲームなんですけど……」
「分かってますよ!!」
あんな怒るほど真剣にネットで調べてきたということか。だとしたらどんなページ見てきたんだろうかと気にはなるものの、また怒られるのも困るので黙ってました。しかし、心の中では俺は彼女にあだ名をつけました。
吉野家(牛を狩るから)。
で、Mさんの居ないところでは吉野家さんと言ってたんですが、普段口にしてると本人の前でもつい口に出ちゃうもんですね。
「えー、わたし、吉野家ですかー。じゃあそれでもいいから、他の人にもあだ名つけてくださいよ」
そこで、俺は前々から気になってたことを口にしたのでした。
「はねるのトびらって番組あるじゃないですか」
「ああ、アレ、わたし大好きなんですよ。グローバルTPSとか面白いですよねー」
「(グローバルTPSは聞かなかったことにして)あれに、オータムさんとムガさま、ってあるじゃないですか……似てません?」
次の瞬間Mさんこと吉野家さんは爆笑して、Kさんを見てました。俺は主語も目的語までも言った覚えはないというのに。そうです、それほどまでにKさんは似ているのです。次の瞬間、Kさんのあだ名はオータムさんに決定。
そして帰宅してまみりんにこの話をしたところ、質問されました。
「ダーリン、そのオータムさんって細い人なの?」
「いや、どっちかと言うと太い人だけど?(心も体も)」
「じゃあ、その人はムガさまだよ! ブーデなのがムガさまで、その横のひょろいのがオータムさんだよ!」
Kさんを直接見てないまみりんに間違いを指摘されて驚いていると、まみりんは更に攻め立ててきました。
「ダーリン、言葉はちゃんと正しく使わないとダメだよ!」
0割る2をマイナス2と言う人にたしなめられて驚くなという方が無理ですが、とりあえず翌日からKさんのことはムガさまと呼ぶことにしました。心の中で。
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