前作は個人的にはイマイチだったので乗り気ではなかったものの、『サイレントヒル4』がヤバいくらい狂ってそうだったので、その前にと思って3をプレイしてみました。
ちなみに1もプレイしようと思ってたんですが、今となっては辛すぎて。ゲームに限らず小説でも漫画でも、出来る限りその時代に味わっておくのが無難だなぁと思ってしまうのでした。でも冒頭の視点が斜めになったりして世界が歪んだように思えるような演出は秀逸だったかな。それ以降はやってないけど。
で、本作ですが、しっかりと面白かったです。前作では何となく画面が暗いだけで、裏世界と表世界に差異があまり感じられませんでしたが、本作ではかなり差別化が成されていて不気味さや迫力が増していると思います。良い意味で悪趣味すぎで、あんな場所は歩きたくもないと思わせるくらいの描き込みっぷりは必見です。
ただ、怖いかどうかと言われると、これがさっぱり。遊園地のあの場所は驚きましたが、それ以外のところではそんなに驚かそうという気持ちが感じられませんでした。ホラーゲームに慣れすぎてしまったから、というのもあるとは思います。小まめにセーブして、一度は死ぬつもりで敵の配置を調べたりして、なんてプレイしてたら怖くなるべきものも怖くなくなります。でも弾数制限があるゲームなので、自然と効率的なプレイに走ってしまうのです。と言うか殆ど敵は倒さずに避けてばっかりでしたので、それも怖くない原因でしょうか(クリアしても敵を20匹も倒してなかったのを見て驚きました。これでもいけるんだ、と)。一度倒した敵は基本的には復活しないのもあって、敵を倒しつくしてしまえば追い詰められた気持ちがまったくなくなってしまいますし。この点を考慮したのが「SIREN」だな、とは思います。その難易度の高さの是非は別としても。
あと、ストーリーは可もなく不可もなく、といった印象でした。特に意外性もなく、予定調和的に終わった感じです。中盤あたりでで1と3の関連付けを語ってくれてたので親切とは感じましたが、それ以上に感じ入る部分はありませんでした。逆に言えば誰でもちゃんと楽しめるように工夫しているとも言えますが。
でも、演出は凄い部分があると思います。一度も姿を実際には表さなかったアイツに一番の狂気を感じましたので、もっとああいった狂った部分を絡めてきて欲しかった。不気味なモンスターよりも、ああいった人間の精神的な狂気の方が恐ろしく思えるのは俺だけではないと思います。登場人物が想像していたよりはキチガイじゃなかったのが不満と言えば不満かな。あまり居そうにない人物像にしても逆効果だとは思うので微妙なところですが、正常な中にも異常さを垣間見せるような演出があればもっと良かったのに。
あと秀逸に思えたのが「ハンドルを回す存在」としか表現できない「あれ」*1。クリアしても結局「あれ」が何なのか分からなかったのですが、その不透明さや意味不明さが不気味で良かった。「あれ」を見たせいなのか、本作をクリアしたあと、昔見た夢を思い出しました。後から「ザリガニ団地」と凡庸な名前をつけた、あの夢のことを。目が覚めているのか、夢をみているのか、彼岸と現世を行き来しているような状態だったのか、今でもはっきりとは思い出せません。
ただ覚えているのは、貝殻のように円形で、全方向に人が入れるくらいの穴が開いていて、そんな奇妙な建築物から人か何か分からないものが這い出てこようとしているのですが、あらゆる方向に何かが手を出して各々の方向に進もうとしているので、結局はどこにも進めずに留まっている、その重々しい姿。ああいった素面では見れそうにないビジュアルって、ドラッグをキメればいつでも見れるのではなかろうか。外部からドラッグをキメる代わりに、何らかの形で脳内麻薬を分泌させれば見れるのではなかろうか。
次回作の4ではもっと狂った何かを見せてくれるのではないかと期待しています。そしてそのクリア後、今までに見たことも無いような何かを幻視できはしないか、とうっすらと期待してしまうのです。
- 注1 : ヴァルティエルという名前があるようです。あれでも天使らしい。
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