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映画

シン・エヴァンゲリオン劇場版:||(ネタバレあり)

シンエヴァンゲリオン 映画

無事、終わりを見届けてきました。

寧々さんとエヴァ

エヴァンゲリオンは25年もの時間をかけて完結したため、ほんの少しの匂わせすら見たくない人も多いかと思います。

当記事では、テレビ版・漫画版・過去の劇場版にも言及しています。そういうわけでネタバレなしに何も語る事はできません。

全てがネタバレ

上記の理由につき、すべてのエヴァンゲリオンを鑑賞済な方のみ、クリックしてネタバレ感想を表示してみてください。

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自分は大学生時代からテレビ版を見てまして、そのあとあらゆる劇場版も初日に見に行ってたんですけれど、そのたびに冷水ぶっかけられるような思いをしてきました。今度こそはハッピーエンドになってくれ……と思いつつも、それを裏切るかのような容赦なさ。その繰り返しが思えば4半世紀も続いてたわけです。前回の『Q』もなかなかの展開でしたので、もうどうなっても最後を見届けるしかない、という義務感めいたものがありました。

といった感じに、そこまでマニアックなファンじゃないんですけれど、それなりに思い入れがあるのは確かです。ここまで来てネタバレくらうのは最悪なので、初日の席をなんとか取ろうとしたら、0時過ぎからのサーバ落ちまくりからのチケット争奪とあいなり、なんとか1時前には切り抜けました。ほんとうは会社休みたかったのですがそうにも行かず、定時直後の回でなんとか予約完了。

会社から一番近い劇場とはいえ時間がギリギリなので、念の為に昼休みの間にチケット発行して、パンフレットも先に確保することにしました。そう思ってエレベーターに乗ると、ひと目で自分と同類と思われる同世代の男性・女性がにこやかに入ってきました。みんなで同じ階に降りて、みんなで同じ場所で発券し、みんなでパンフレットを買うために並んでると、みんな考えることは同じだなぁ、と思ってしまいます。こうして列に並んでると、普段だったらツイッターでも見ながらなんですが、どこにネタバレが潜んでるか分からないからスマホすら手にしません。コロナ対策すらここまで真剣にやってただろうかと思うレベルの危機管理。

そしてパンフレットとチケットを確保したら、すぐさま会社に戻りました。何が何でも定時に帰るつもりでしたが、職場でこういう時に限っていろいろな事が起こりすぎて、会社を出る数分前まで本当に定時ダッシュできるのか疑ってた、と言うか映画を見に行く実感がわかない状態でした。それでも何とか時間通りに会社を出て、劇場に再度向かうと、事前に色々済ませててもギリギリのタイミングでした。皆が席についてる中、恐縮しながら自分の席に向かっていると、本当に様々な世代の人が居るなぁ、と思いました。

この日は時間的にギリギリすぎていつもみたいに寧々さんを撮影できてなかったので、後日別の映画を見に行った際にあらためて写真撮影してたんですけれど、家族連れがやってきて撮影しつつ「エヴァンゲリオンは4DXでみたいなぁ」と幼稚園児くらいの男の子が言ってるのを見ると、様々な世代の人間がそれぞれの思い入れを持ちつつ楽しんでいるなぁ、と実感したものです。

残酷な天使の寧々さん

そしていよいよ上映開始。この時間帯なんで一人くらいはポップコーン食べまくってうるさい客が居ることも覚悟してたんですが、皆が周りに気遣いつつ静かに見守ってる状況で、ジュース飲む人が居ても実に静かでして、これだけの大人数にも関わらず、かなり理想的な鑑賞状況となりました。現代の奇跡……っ!

序盤の緊迫したパリ戦が終わった後、まさかの農村描写になったときは心底驚きました。4DXで見てたら泥の匂いでもしかねないくらい、かなり丁寧で穏やかな描写が続きます。前作で意味ありげに体操服で名前が出てたトウジも無事で、酸いも甘いも噛み締めたうえでの大人になってました。

それだけでなく、全編に渡って専門用語は出るものの、今までにないくらい説明セリフが多かったのも驚きです。不自然一歩手前くらいに出てくるので、庵野監督ほどの方が気づいてないわけもなく、これはできるだけ観客を置いてけぼりにしないように、という配慮なのではと感じます。そういった点や村での穏やかな描写を見た時に、もしかして今回はまさかハッピーエンドになるのでは……?と思い始めました。

今までの劇場版だと、率直に言って庵野監督が病んでいて、そこから生み出される凡作では絶対に見れないような鬼気迫った演出があって、観客視点からすると冷水ぶっかけられるような心境なんですけれど、モノづくり側の視点からすれば、普通だったらこの規模の作品では絶対避けるような鬱展開であっても、庵野監督のクリエイター性を重視して、敢えて世に出す姿勢は凄いと思ってました(でも冷水と思ってましたけど)。

当時は何も知らなかったんですが、ガイナックス社とのいざこざとか、敢えて別会社を立ち上げて経営も行う決断にいたった状況を知った後だと、病んでも仕方ないかと感じました。なんとなく『ハンターハンター』の冨樫先生の逸話を思い出します。

作家とは、文字通り命を削って作品を作り上げるのだろうな、と。血肉や魂も捧げているのだろうな、と。だから我々はただ、待つしかないのだろう、と。無言で手を合わせ、祈りつつも。

それゆえに、農業や家族を描写する一連のシーンを見ていると、監督も長い時間をかけて癒やされたのではなかろうか、と感じたのです。これらのシーンは長いと言えば長いんですが、これくらい丁寧に描写しないとシンジが心を取り戻す事に説得力がないので、個人的にはいいシーンだったと思います。アスカに”いい人”ができてるのを間接的に描写したり、といったさり気なく重要なシーンも含んでますし。

物語は進み、途中でマリがアスカの髪を切ってるシーンになりました。この場面を見ていると、コミック版14巻のラストの話を思い出します。マリは同性愛者であり、メガネはシンジの母から貰ったもの、というコミック版にのみ描写があった設定があったのですが、それをも取り込んでいるのか、と。そういった事を鑑みると、余計にマリがアスカを愛おしく感じているのが伝わってきました。

そして物語は残すところ50分ほど、いよいよ最終決戦に入る前のシーンにて、事件は起きました。

映像が完全に消え、赤いランプが場内に灯ったのです。エヴァなので「ああ、こういう演出かな?」と思ってたんですが、数分経ってもこの状態なのでさすがに周りがガヤガヤしだし、本当に災害なのか?と思い始めたときは、死を覚悟してました。ああ、できれば死ぬ前に最後までエヴァを見たいな、と達観しつつ。でも結局は警報機の誤作動で、20分ほどの中断のあと、少し前のシーンから再開して一安心です。

良かった。火事で逃げ惑う人はいないんだ。

だから1回というか、1.01回くらい:||くりかえし見た計算になります。最終戦に行く前のシーン、どんなにいいシーンでも2回連続でみるのはきついな……と思いましたが、序盤の穏やかなシーンから見る羽目にならなくてよかったのかもしれません。劇場出る時にお詫びの言葉と、任意の作品が見れるタダ券を貰って、手際の良さに感心しました。ちゃんとマニュアル化されてるんだな、と。

お詫びのチケット

思わぬアクシデントはありましたが、ちゃんとケアもありましたし、珍しい思い出ができたと思う事にしました。

まぁ中断してる間にトイレに行けたのは或る意味ラッキーでしたし。今回は2時間半という長丁場で、膀胱との戦いとなった人も多いとは思いますが、実は尿意には餅が効果あるらしいですね。収益性があるからと言って、周りに音で迷惑かけるポップコーンを売るよりは、餅を劇場内で売って欲しいですね。それこそポップコーンを代替するレベルで、スタイリッシュにして喉につまらない、静かに鑑賞中でも食べれる餅があったら、売上けっこう貢献できるのではないでしょうか。

色々有りましたが、冬月先生が『ワールドトリガー』の最強老騎士ヴィザばりの強さを見せつけつつ、いよいよ最終決戦です。初号機と13号機というラストに相応しい対決というだけでなく、ゲンドウが「これは暴力と恐怖で終わらせる戦いではない」と言っていたのが一番心に残りました。そしてそのあとで一瞬だけ見れる、息子に対する優しい目線。今は自分も一児の父なので、その瞬間はうるっと来てしまいました。

このままハッピーエンドになるかと思いきや、本作の終盤で過去作のオマージュ的な演出見せられたときは、またいつもの意地悪な演出が出てきたか、と訓練されすぎためんどくさいファンゆえ割とスムーズに覚悟完了し、心をATシールドで防御してたんですが、終わってみれば危惧してたような展開はなくて、実にきれいに終わって逆に驚きました。

過去作の演出をモチーフにした場面が出てきたのは、カオル君が何度も世界を:||くりかえし、劇場作品のそれぞれの世界を:||やりなおした、って事を示した演出だったのかもしれません。

「ミサトさん、あんたシンジに頑張れ言うたよな?」
「カオル君が来たからニアサードインパクト回避できたんじゃなかったの?」
というみんなが思ってる疑問も、実は破→Qに至る展開すら、実は全く同じ世界ではなかったのかもしれません。それは我々観客ですら把握できず、カオル君しか分からない事なのかもしれません。

そう考えると、今まで劇場版の予告編では出てきたものの、本編にはなかったシーンすら、もしかすると違う世界線の出来事だったのかもしれません。幾度もの:||リピートの末、カオル君と我々観客は、現実世界で成長したシンジと胸のでかいイイ女が手を取りあうシュタインズゲートに到達したのでしょう。今までのいくつものエヴァンゲリオン世界を超え、統合し、すべての終着駅へ。

シンジとアスカは昔は好きだったとお互いに告げます。それが悪い思い出ではなかったと。学生の頃ではなく50歳も間近になって、それなりに人生で色々と味わってきた今だからこそ、その二人の様子を見ていると、人生そういうものだよなぁ、としみじみ思うのでした。庵野監督もいろいろありましたが、今は癒やされているのではなかろうか、と。

本作は色々と驚く点が多かったと思います。穏やかな農作業シーンでは「自分が見ているのはエヴァなのか?」と思い、ラストシーンでは「本当に大団円で終わってしまった!」と放心したものですが、個人的に一番驚いたのはスタッフロールに「月曜日のたわわを翻訳する人」こと「兼光ダニエル真」氏の名前が出てきた瞬間でした。

兼光ダニエル真

毎週こんなやり取りされてるのを楽しく拝見してますが、まさかここまで翻訳ガチ勢の方だったとは……

周りが静かにしんみりしてたので、吹き出さないようにガマンするのが大変でした。衝撃的というか笑撃的なのにもほどがあるっ!

……と色々書いてきましたが、つくづく思ったのは、生きてるうちにこの目で見れてよかった、という点です。

25年もの月日が流れる間、震災やコロナといった大きな社会情勢の変化もあって、当時のファンでこの完結を見届けることができなかった同好の士も居るかと思います。そう考えると、いまここに生きている、という幸福を噛みしめる思いで一杯です。

なお同時期で未完結の作品ですと、『ベルセルク』はもう完結見るのを諦めました。『銃夢』はちょっと怖くなってきてるところです。そう考えると、色々有りましたが、こうして完結を迎えた事は奇跡とも感じます。物語をきちんと終わらせるというのは、本当に難しいことではないでしょうか。

すべてを見終わった今、素直に、感謝の言葉を述べたいです。

庵野監督およびスタッフの方々、面白い作品をありがとうございました。

さようなら、すべてのエヴァンゲリオン。
再見さようなら、すべての世界線のエヴァンゲリオン。

終劇

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